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2月 6日

自動車、通商交渉に警戒 英EU離脱 移行期間入り FTA逃せば流出加速も(2月3日付朝刊 1面ほか)

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 1月31日夜(日本時間2月1日朝)、英国が半世紀近く加盟した欧州連合(EU) から離脱しました。欧州の政治・経済はもちろん、日本の産業界にも影響を与 える大きなニュースで、日経では1月31日以降、この話題を連日大きく報じて います。

 これまで英国はEU加盟国でありながら、統一通貨ユーロを導入せず自国通貨 ポンドを採用し続けるなど、EUと一定の距離を置いていました。また最近増え ていた中東・アフリカからのEUへの移民は、経済が堅調な英国に集まりやすく、 反発の声が出ていました。これらを背景に英国ではEUから離脱すべきとの声が 強まり、これを受けて同国政府は2016年に国民投票を実施。EUからの離脱支持 が過半数を占め、離脱方針が決定しました。

 ただ国民投票でも賛成派・反対派が拮抗していただけに、実際の離脱に向け た国内の合意形成や、EU側との協議は難航しました。19年12月の下院総選挙で、 離脱方針を明確にしたジョンソン首相率いる与党・保守党が大勝したことで一 応の道筋がつき、今回の離脱に至りました。

 英国は加盟国でなくなったのでEUの政策決定などには参加できなくなりまし たが、20年末までは「移行期間」となり、英・EU間の関税ゼロなどは当面維持 されます。この期間内に英国は、EUと新たな関税や貿易のルールを定める自由 貿易協定(FTA)の締結交渉などを進めます。  この日の記事にもあるように、英国としては、関税ゼロなどEU加盟国時代の 恩恵を維持しつつ、自国企業に有利になるよう規制やルールは緩和したい考え です。しかしEU側はこれには否定的で、交渉は難航が予想されます。移行期間 は最長で22年末まで延長が可能ですが、ジョンソン首相はこれを拒む考えを示 しています。

 もし移行期間内に両者が合意に至らなければ、20年末には「合意なき離脱」 と同様の状態になり、その影響は幅広く及びます。英・EU間の貿易には関税が 課され、通関手続きも発生して人の移動も当然自由ではなくなります。また日 本とEUは経済連携協定(EPA)を締結しているので、今までは日本と英国との 間でもその協定が適用されてきました。移行期間が終われば関税削減などの恩 恵が失われます。

 欧州各国への輸出拠点として、英国に進出してきた日本企業は少なくありま せん。EU諸国には関税なしで輸出できましたが、合意なき離脱となればこうし たメリットがなくなります。このリスクを避けるため、すでに自動車メーカー のホンダは21年に英国工場で生産を終了する方針を決定。このため部品を供給 していたメーカーなども、英国からの撤退を表明しはじめています。同様の動 きは今後広がる可能性があります。

 20年末に向けて英国とEUの交渉がどのように推移するか。それを踏まえて日 本政府は、英国との間でFTAやEPAなどの締結交渉をどう進めていくのか。こう した政治・外交情勢によるリスクを想定して、日本企業は欧州展開をどのよう に見直して行くのか。これらが今後の注目点と言えます。(waka)