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3月19日

ネット広告費、テレビ抜く スマホ普及で 昨年、「ターゲティング」転機(3月15日付日経朝刊 2P総合1面)

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 このほど電通が発表した日本の2019年の広告費は、テレビ向けが前年比2.7% 減の1兆8612億円。一方、インターネット広告費は19.7%増の2兆1048億円と、 初めてテレビ向けを上回りました。

 「四媒体」と呼ばれる新聞・雑誌・テレビ・ラジオの広告に加えて、近年急速 に利用が伸びているのがネット広告です。ホームページを閲覧したときに、あ らかじめ決められた期間・場所に表示される「バナー型」、検索エンジンでの 検索結果に応じた「検索連動型」、閲覧ソフトの履歴にあわせた「ターゲティ ング型」などがあります。

 テレビCMや新聞広告など従来の手法では、広告がどのぐらいの人々に届いて いるのか把握しにくい面がありました。ネット広告の場合、表示された広告が どれだけの割合でクリックされたかを示す「クリック率」などのデータをとる ことが容易で、広告効果がより正確に測れる利点があります。  また検索連動型やターゲティング型では、インターネットユーザーの一人ひ とりの興味や嗜好に沿った広告が提供しやすく、高い効果を期待できます。今 では「クッキー」と呼ばれる閲覧履歴データを活用したターゲティング広告が 主流となっており、ネット広告全体の約7割を占めます。

 ネット広告の約7割はスマホ向けとみられ、特に動画広告が伸びています。 スマホの場合、長い動画広告はスキップされやすいため、6秒程度のごく短時 間の動画に情報を凝縮した広告(バンパー広告)を打ち出すなど、新たな潮流 も生まれています。

 他方で、ネット広告には課題もあります。代表的なのが消費者のプライバシー の問題です。ターゲティング広告はネット利用者が過去に訪れたサイトや購入 した商品などの履歴を分析して、それに合わせた広告を提供するので、生活を 覗き見されているかのように不快に感じる人が少なくありません。  この日の記事でも紹介していたように、この問題を踏まえ、政府のデジタル 市場競争会議ではデジタル広告のルール整備を進めています。今後はプライバ シーに配慮した新たな広告手法の開発が求められていくと考えられます。

 世界のネット広告の約6割を米グーグルと米フェイスブックが占めるとみら れ、この寡占状態を警戒する声もあります。また国境を越えて活動する大手 IT企業の場合、現在のルールでは本拠地以外の国での収益には課税しにくく、 ネット広告収益についても「課税逃れ」との批判があります。  昨年以降、「デジタル課税」と呼ばれる国際的なルールづくりが進んでいま す。英仏など欧州諸国が課税に積極的である一方、米国は消極姿勢を示してい ます。交渉は難航しそうですが、もし課税が本格化すれば、収益をネット広告 に依存するグーグルやフェイスブックは事業モデルの見直しを迫られる可能性 があります。(waka)