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3月26日

スマート都市で陣営作り トヨタとNTT、資本提携 GAFA対抗 (3月25日付日経朝刊 1面、17P企業2面)

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 トヨタ自動車とNTTは3月24日、スマートシティー(次世代都市)の共同開発 に向けて資本・業務提携すると発表しました。  スマートシティーとは、あらゆるモノがネットにつながるIoTや、次世代通 信規格である5G、自動運転技術など、先端技術を活用することで街や地域の情 報化・デジタル化を進め、さまざまな社会課題を解決していく都市構想を指し ます。

 例えば自動車の情報化により、1台ごとの移動経路や交通量などをリアルタ イムで把握・調整できるようになれば、渋滞を抑制し、排ガスも減らせると考 えられます。また、バスなどの公共交通が自動運転化できれば、少子高齢化・ 人口減少によってドライバー不足が進んでいる地域でも、高齢者に便利で安全 な移動手段を確保できるかもしれません。  新産業の創出や地方活性化につながることから、政府はスマートシティー構 想を重視しており、国土交通省などを中心に民間企業や地方自治体の取り組み を推進しています。

 トヨタやNTTグループにとっても、スマートシティーは新たな成長分野とし て期待される分野です。  以前も解説しましたが、自動車業界は今、大きな変革期にあります。すでに カーシェアリングが普及しつつあり、さらに完全な自動運転が実現すれば、人 が操作する必要がなくなってタクシーやバスに乗る感覚に近づくので、マイカー を保有する人が激減する可能性があります。自動車各社は新たな収益源を確保 する必要があります。

 そこでトヨタは、クルマを製造・販売するだけの従来型のビジネスから脱却 し、目的地に運んでくれるモビリティー(移動手段)サービスの一つとしてク ルマを提供する事業モデルを構想しています。今年1月にはモビリティー事業 の一環として、スマートシティー開発への参入を明らかにしていました。

 またスマートシティーでは、各種のセンサーなどを連携させるため5GなどNT Tグループが保有する通信技術が重要な役割を果たします。NTTにとってもスマー トシティーへの参画は収益を高められるチャンスになります。  こうした背景から、トヨタとNTTグループは、スマートシティーにおける互 いの強みを活かす狙いで今回の提携に至ったと考えられます。

 すでにネットワークやデータ関連のビジネスでは、顧客情報など大量のデー タを活用して利便性の高いサービスを次々と提供する米IT大手のGAFA(グーグ ル・アップル・フェイスブック・アマゾン)が強い市場支配力を持ちます。GAFA はスマートシティーにも力を入れています。日本を代表する2つの巨大企業が それにどう対抗していくかが今後の注目点といえます。(waka)