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5月21日

忍び寄るオフィス不要論 コロナ後も「在宅」 需給に影 ドワンゴは全社員1000人(5月15日付日経朝刊 13P企業2面)

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 毎年5月には、多くの上場企業が3月期の本決算を発表します。先週から今週
にかけての日経紙面も、2020年3月期本決算の結果と21年3月期の業績見通しに
関する記事が目立ちました。
 そんななかで15日付朝刊企業2面では、不動産大手の決算関連記事とともに、
在宅勤務の拡大がオフィスビル需要にもたらす影響を分析した記事を大きく掲
載していました。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、在宅勤務を本格的に取り入れる企業
が増えました。通勤時間がかからないだけでなく、業種・職種によっては自宅
の方が業務効率が高まるケースもあり、在宅勤務は宣言が解除された後も定着
する可能性があります。

 興味深いのは、オフィスで働く必要性が薄れたと判断して、これを機にオフィ
スビルの賃貸契約を解約する企業までが増えていることです。収益性が不安定
な新興企業にとって固定費であるオフィス家賃の負担感は大きいと言えます。
大半の社員の在宅勤務が常態になれば、本社オフィスはごく小規模で済み、固
定費を抑えられます。この日の記事でも分析しているように、スタートアップ
のオフィス移転を仲介するヒトカラメディア(東京・目黒)によると、19年ま
では増床移転の依頼が9割強を占めていましたが、今年3月下旬から潮目が変わ
り、オフィス縮小の依頼が半数近くを占めるようになったといいます。

 オフィスの見直しを進めているのは新興企業だけではありません。例えば約
6000人の社員を抱える大手IT企業のGMOインターネットは、人員増加に伴って2~
3年ごとに大規模な増床を繰り返してきました。しかし、ほとんどの社員が在
宅勤務に移行したことから、「人が増えてもオフィスの拡充はせず、浮いた賃
料や光熱費などのコストは、パートナー(社員)に還元する」と発表しました。

 オフィスビルは20年以降も新規供給が続きますが、在宅勤務の普及に伴って
オフィス利用を見直す企業が増えれば、需要は減っていく可能性があります。
都心部のオフィスをビジネスの中核としてきた不動産会社は、戦略の見直しを
迫られるでしょう。記事でも紹介していたように、すでに三井不動産は住宅地
近くにシェアオフィスやレンタルオフィスを展開する計画を進めています。
 コロナ感染の完全な収束にはまだ時間がかかりそうですが、すでに多くの企
業は「コロナ後」を見据えた事業展開に動き始めており、日経でもそれを伝え
る記事が増えています。ぜひ注目しましょう。(waka)