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6月18日

勝ち組ZARA、1200店閉店 ファストファッションにも転機 ネットと店舗の融合急ぐ(6月12日付日経朝刊 13P企業2面)

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「ZARA」などを展開するアパレル世界最大手インディテックス(スペイン)
は今月10日、各国で展開する約7400店のうち、最大で1200店を閉める計画を明
らかにしました。日経ではこの話題を12日付朝刊の企業2面「ビジネスTODAY」
で大きく取り上げました。

 インディテックスは、「ユニクロ」を展開する日本のファーストリテイリン
グや米衣料大手のギャップなどと同様、「SPA(製造小売業)」モデルを採用
して急成長を遂げてきました。SPAとは、自前の店舗網を持ち、衣料品の企画・
製造から販売まで一気通貫で手掛けるビジネスモデルです。店舗網を通じて、
売れ筋動向や顧客ニーズの変化をきめ細かく把握し、それを新たな商品の開発
に迅速に生かせるのが強みです。問屋などを介さないので、流通コストを抑え、
低価格を実現できる利点もあります。

 定番商品が多いユニクロと違い、インディテックスは常に最新の流行に応じ
た服を生み出し、本社のスペインから空輸してわずか2日で世界中の店舗に並
べるという独自のスタイルで業容を拡大してきました。
 しかし、流行の変化の激しい衣料を大量生産すれば、売れ残った場合のリス
クは大きく、業績を圧迫しやすい面があります。そんな中で今回の世界的な新
型コロナウイルス感染拡大に伴って衣料消費が冷え込み、大きな打撃を受けま
した。これが今回、インディテックスが店舗閉鎖を決めた直接の要因です。

 コロナショックが起こる以前から、アパレル業界は「実店舗からネットへの
シフト」という大きな構造変化が起こっていました。最近ではこれに対応して
「D2C(Direct to Consumer)」と呼ばれる新業態が成長を遂げつつあります。
小規模な事業者が企画・製造した商品を、中間流通や店舗を介さずに電子商取
引(EC)のみで販売するモデルです。実店舗や大型の広告でアピールする代わ
りに、インスタグラムのようなSNS(交流サイト)を活用してブランドメッセー
ジや商品開発のストーリーを丁寧に発信していくことで、ファンを獲得してい
くことに成功しています。
 今回のコロナ感染拡大は、実店舗からネットへのシフトをより加速させる可
能性があります。消費者のニーズもますます多様化しており、そのなかでイン
ディテックスやファーストリテイリングなど既存のアパレル企業が成長を維持
していくのは容易ではありません。

 今回の記事でも解説しているように、今後インディテックスはデジタル投資
を強化し、ネットと実店舗の融合を加速させていく考えです。同社のECの売上
比率は2019年時点で14%ですが、消費者がオンラインで注文すると近隣の店舗
から自宅へ発送するという仕組みを強化することなどにより、この比率を22年
には25%に引き上げる方針です。

 アパレル各社がビジネスモデルの転換を果たし、コロナ禍と構造的な課題を
どう乗り越えていくのか、業界地図はどのように変わっていくのか、ぜひ注目
したいところです。(waka)