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7月 8日

車など半数業種で減少 大卒採用2.6%増 10年ぶり低水準 本社調査 コロナ禍響く(6月29日付日経朝刊 1面、5P企業面)

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 日本経済新聞社がまとめた2021年春入社の採用計画調査(最終集計)の結果
を、6月29日付の日経朝刊1面ほかで伝えていました。大卒採用は10万8116人で、
20年春の実績との比較では2.6%増。伸び率としては10年ぶりの低水準です。ま
た高卒などを含めた新卒採用計画全体は14万9436人となり、1.4%減となりまし
た。新型コロナウイルスの感染拡大などが影響していると考えられます。

 企業にとって人材は最も重要な経営資源の一つであり、将来の競争力を大き
く左右します。特に日本では、大量の人材をほぼ同じ時期に集中的に選考して
一斉に内定を出す新卒一括採用が定着しており、企業にとって人材獲得の大き
な比重を占めます。半面、新卒の学生を採用して育成していく上では多額の費
用がかかるため、業績の先行きにある程度明るい見通しがなければ増やせませ
ん。

 今回の採用計画調査の結果も、業種によって違いが見られます。主要43業種
のうち半数で前年を下回っており、中でも減少率が大きかったのが製造業では
鉄鋼(18.2%減)や自動車部品(電装部品・14.4%減)、非製造業では百貨店・
スーパー(8.5%減)などでした。記事でも触れているように、各国の出入国規
制の影響で旅客が急減した航空業界では先行きが見通せず、全日本空輸や日本
航空のように採用活動自体を中断している例もあります。

 一方、コロナ禍の中で業績をむしろ伸ばし、人材獲得意欲が高まっている業
界もあります。代表的なのが陸運業界。外出自粛による通信販売の増加などを
受け、38.1%増となっています。また大卒者を文理別で見ると、理工系人材へ
の引き合いは堅調で、9.0%増となっています。デジタル技術で組織や作業を効
率化する「デジタルトランスフォーメーション」(DX)などに対応する上で、
あらゆる業種の企業にとって理工系人材は欠かせないからです。このほか、薬
剤師や管理栄養士などの専門人材が重要となるドラッグストアも採用を増やす
計画です。

 29日付企業面の「専門家の見方」でも指摘していましたが、08年に起こった
リーマンショック後の状況に比べると、全体に企業の採用意欲は落ちていませ
ん。ネガティブなニュースに目が向かいがちですが、コロナ禍の中でも将来の
成長のために積極的に人材獲得に動いている企業も多いので、そうしたニュー
スにぜひ目を向けておきましょう。(waka)