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7月16日

ファミマ完全子会社に 伊藤忠、5800億円でTOB JA系と「食」で連携(7月9日付朝刊 1面、3P総合2面)

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 伊藤忠商事は7月8日、ファミリーマートを完全子会社化すると発表しました。
現在、伊藤忠は50.1%の株式を保有していますが、5800億円を投じてファミマ
のすべての株式を取得します。両社の強みを生かし、実店舗とデジタルとの融
合など新たな消費ビジネスの構築に取り組む考えです。

 以前もこのコラムで解説しましたが、長年成長を続けてきた日本のコンビニ
エンスストア業界は現在、大きな転機を迎えています。最も大きな課題は人手
不足。人件費コストが大きな負担となり、24時間営業の見直しが不可避となっ
ていました。24時間営業はビジネスモデルの根幹を支えてきただけに、その見
直しは収益性に多大な影響を与える可能性があります。

 それに追い打ちをかけたのが今回のコロナ禍でした。コンビニは日常生活を
支えるインフラであり、緊急事態宣言下でも営業を続けていましたが、在宅勤
務の普及や外出自粛の影響で消費動向は大きく変わりました。特にファミマは
都心部での出店を進めていたため、在宅勤務が逆風となり、2020年3~5月期の
既存店売上高は前年同期比10.5%減となりました。記事でも紹介しているよう
に、同社の沢田貴司社長によれば、商品構成などが巣ごもり需要に十分対応し
きれていなかったことも、売り上げ減となった要因でした。

 今回の完全子会社化により、ファミマは上場廃止となります。株式上場した
状態では、不特定多数の株主が経営を監視するため、経営透明性が高まる一方、
大きな経営判断を迅速に下すのは難しい面があります。上場廃止となれば経営
判断のスピード化が図れます。今後は、伊藤忠が出資する人工知能(AI)系ス
タートアップと連携してデータの高度な活用に取り組んだり、同じく伊藤忠の
提携先であるJAグループと組んでコンビニでの生鮮食品の品ぞろえを強化した
りしていく見通しです。

 とはいえ新型コロナウイルスの感染第2波が懸念される中、アフターコロナ
の消費動向を見通し、新たなニーズを捉えた商品・サービスを生み出していく
のは容易ではありません。商社による完全子会社化でファミマがどんな成果を
生み出していくのか、セブン-イレブン・ジャパンやローソンなど他社はどう
対応していくのか、ぜひ注目したいところです。(waka)