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7月22日

大戸屋「著しい損害」 TOB 反対表明、敵対的買収に(7月21日付朝刊 13P企業2面)

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 定食店「大戸屋」を展開する大戸屋ホールディングス(HD)は7月20日、外
食大手のコロワイドによるTOB(株式公開買い付け)に反対することを正式に
表明。この話題を日経では翌21日付朝刊企業2面で報じていました。

 株式を他の株主から買い集めることで、企業の経営権を取得することができ
ます。株式のすべてを買い取れば完全に子会社化することができますし、株式
の一定割合を購入するだけでも支配力を高めることができます。

 証券取引所に上場している企業の株式は、原則として誰でも市場を通じて買
うことができますが、買収などを目的に大量に買い付ける場合は、買い付ける
価格や株式数、期間などを事前に公表することが義務づけられています。すべ
ての株主に売却の機会を公平に与えるためです。このような買い付けをTOB(T
ake Over Bid)と呼びます。

 先週のコラムで紹介した伊藤忠商事によるファミリーマートの完全子会社化
においても、TOBが用いられます。TOBは日本の場合、互いの合意を得て行うこ
とが多いですが、買う側と買われる側の間で意見が対立するケースがあります。
相手側の同意を得ずに実施するTOBを「敵対的TOB」と呼びます。

 今回のコロワイドによるTOBに対し、大戸屋HD側は反発しており、「敵対的T
OB」に発展しました。
 コロワイドは2019年に大戸屋HDの創業家から株式を譲り受けており、現時点
で19%を保有する筆頭株主です。以前からコロワイドはコスト削減策を提案し
ていましたが、大戸屋HDの経営陣との合意には至りませんでした。

 そこでコロワイドは、TOBによって保有比率を5割程度に高め、子会社化する
方針を決めました。コロナ禍で外食産業の経営環境がますます厳しくなる中、
工場でまとめて調理するなどの合理化策を進めてコストを削減し、事業の立て
直しを図る考えです。しかし大戸屋HD側は、店内で手間をかけて調理する仕組
みこそが強みであると主張。合理化策に一貫して反対しており、株主に対して
もTOBに応じないよう呼びかけています。

 双方に考えがあり、どちらか一方が正しいと単純に言い切ることはできませ
ん。コロワイドと大戸屋HD、どちらが経営の主導権を握ったほうが顧客価値や
企業価値の向上につながるのかを、株主が判断することになります。両社は今
後、株主が納得するような説明をどれだけ重ねられるかが問われます。
 日本では比較的珍しい敵対的TOBがどう決着するのか。ぜひ注目しましょう。
(waka)

経済ライター
若槻基文さん

大学卒業後、編集制作会社を経て独立。経済・金融・金銭教育分野を中心に、小学生向けからシニア向けまでさまざまなコンテンツ執筆を手掛けている。オフィステクスト代表取締役。