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7月30日

ダイドー、IoTで即補充 「自販機王国」コロナで転機 コカ・コーラは投資抑制(7月27日付朝刊 5P企業面)

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 7月27日付の朝刊企業面で、飲料メーカーによる自動販売機ビジネスの最新
事情を詳しく伝えていました。
 飲料メーカーは小売店などと共に自販機を重要な販売チャネルの一つと位置
づけてきました。定価で販売できるので利益率は高く、通常の店舗と違って販
売員も必要ありません。治安の良さもあって、日本の自販機ビジネスは1960年
代から堅調に伸びてきました。日本の自販機設置台数は世界有数の多さです。

 しかし近年はコンビニエンスストアとの競合により、自販機を通じた飲料の
売上数量は減少傾向にあります。コンビニの店舗網は全国各地にきめ細かく広
がっており、品ぞろえも豊富なので、顧客を奪われています。しかも、人手不
足で自販機に商品を輸送・補充する人員の確保が難しくなり、人件費の上昇が
飲料メーカーの収益を圧迫するようになっていました。さらに今般のコロナ禍
で外出自粛・在宅勤務が広がったことから、オフィスや駅の自販機の売り上げ
が減っています。このため、飲料メーカーは自販機ビジネスの見直しが急務と
なりました。

 記事にもあるように、国内で自販機の販売シェア首位のコカ・コーラグルー
プは今後、自販機の投資を抑える方針を表明。さらに飲料の輸送・補充を担当
するドライバーの業務の見直しを図り、コスト削減や生産性の向上につなげて
いく考えです。

 デジタル投資によって自販機ビジネスの効率化に取り組む例もあります。ダ
イドーグループホールディングスは、あらゆるモノがネットでつながる「IoT」
を自販機に活用する実証実験を始めました。自販機に通信機器を搭載し、リア
ルタイムで売れ行きを把握。これを立地や気候などの情報と組み合わせて分析
すれば、地域ごとの売れ行きや消費者の好みに沿った品ぞろえが可能で、収益
性の向上が期待できます。最適なタイミングで商品を補充できるようになれば、
ドライバーの業務効率も高まります。

 またサントリー食品インターナショナルは、企業内に設置した自販機とスマー
トフォンアプリを組み合わせた「サントリープラス」というサービスを始めて
います。アプリを通じて健康に関するアドバイスをしたり、自販機で健康飲料
がもらえるクーポンを配信したりする無料サービスです。顧客との継続的な関
係性を構築することで、自販機の利用度を高めていく考えです。

 コロナ禍はあらゆる業種に大きな打撃を与えている一方、これまで進んでい
なかった業務のデジタル化を加速する契機にもなっています。転機を迎えてい
た自販機ビジネスが、デジタル化によって新たな成長軌道に乗れるのか。大変
興味深いところです。(waka)

経済ライター
若槻基文さん

大学卒業後、編集制作会社を経て独立。経済・金融・金銭教育分野を中心に、小学生向けからシニア向けまでさまざまなコンテンツ執筆を手掛けている。オフィステクスト代表取締役。