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8月 6日

セブン&アイ、米コンビニ買収 店舗核にデジタル攻勢 2.2兆円投入、株価は一時8%安(8月4日付日経朝刊 3P総合2面ほか)

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 セブン&アイ・ホールディングスは8月3日、米石油精製会社マラソン・ペトロ
リアムのコンビニエンスストア併設型ガソリンスタンド部門「スピードウェイ」
を買収することを発表しました。買収額は210億ドルで、新型コロナの感染拡
大後では、世界最大規模のM&A(合併・買収)になります。先月のコラムで解説
した伊藤忠商事によるファミリーマートの完全子会社化に続いて、コンビニ業
界の大きなニュースです。

 以前もこのコラムに書きましたように、コンビニ業界は国内で大量出店を続
けてきた結果、店舗数はすでに飽和状態にあり、大きな成長は見込みにくくなっ
ています。人手不足により人件費も大きな負担となっており、成長を維持する
ため新たな収益モデルの構築が不可欠でした。

 セブン&アイは米国事業を新たな成長の柱に据えており、米セブン―イレブ
ンは全米首位の店舗数である約9000店を展開しています。今回の買収により約
3900店を獲得することになり、約6000店舗で全米2位のカナダのアリメンテー
ション・カウチタードを大きく引き離します。

 日本以上にアマゾンなどの通販ビジネスが定着している米国では、大規模な
店舗網を抱えることはリスクになるとの見方がありました。しかし、今回のコ
ロナ禍でやや様相が変わりつつあります。ウイルス感染を避けるため、米国で
はネット通販で購入した商品を自宅近くの店舗で受け取るという消費スタイル
が広がっているのです。セブン&アイは買収後、コンビニを受け取り拠点とす
る戦略を強化し、店舗の価値を高めていく狙いです。

 とはいえ、セブン&アイが米国市場でどこまで成果を上げられるかは未知数
です。もともとは米国で誕生したコンビニですが、日本で独自の成長を遂げて
きました。全国津々浦々に店舗網を広げ、おにぎり1個単位でも配送できる高
度な商品配送システムを構築することで利便性を提供し、生活インフラとして
定着してきました。
 一方、米国でのコンビニの位置づけは日本とはまったく異なります。店舗は
日本のような都市部や住宅密集地ではなく、ガソリンスタンドに併設される形
態が中心です。車にガソリンを入れる際の「ついで買い」の利用が多いので、
現時点では、日本国内ほど生活に密着した業態にはなっていません。

 日本でコンビニが成長した要因の一つが、おにぎりやお弁当など「食」の充
実でした。セブン&アイは今回の買収後、米国でも日本のコンビニと同様、食
の分野にも力を入れ、新たな成長モデルを創り上げていく考えです。日本で培っ
てきたノウハウを活用しながら、米国でどんなコンビニのスタイルを創り上げ
ていくのか、大変興味深いところです。(waka)