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9月 3日

パソナ本社機能、淡路島に 1200人 東京集中避け段階移転 (9月1日付日経朝刊 1面ほか)

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 9月1日付の日経朝刊で、人材サービス大手のパソナグループが、9月から段
階的に東京の本社機能を兵庫県の淡路島に移す、との記事を1面で報じていま
した。対象となるのは管理部門やシステム部門で、2024年5月末をめどに進め
る考えです。

 コロナ禍でテレワークが定着しつつある中、首都圏に集中した働き方やオフィ
ス利用のあり方を見直す企業が増えています。7月6日には富士通が、国内のグ
ループ会社を含めたオフィススペースを23年3月末までに半減させると発表し、
大きな話題を集めました。
 パソナの場合は本社機能を大規模に地方移転するもので、地方の活性化や雇
用創出に貢献する狙いがあります。さらに事業継続計画(BCP)の観点からも
移転の利点が大きいと判断した模様です。

 BCP(Business Continuity Plan)とは、自然災害や事故などの発生時に、
企業が業務をできるだけ継続するための計画のことです。例えば製造業で重要
な部品工場が特定の地域に集中していると、大規模な地震などが起こった場合
に工場が被災したり、物流が途絶えたりして適切に部品が供給できず、生産活
動が滞ってしまう可能性があります。その場合、あらかじめ拠点を複数の地域
に分散させたり、部品を備蓄したりすることでリスクを軽減できます。

 記事にもあるように、日本の上場企業の5割は東京都に本社を置いているた
め、ひとたび大災害が起これば本社機能がストップし、事業活動に深刻な影響
を及ぼす恐れがあります。そのため本社機能を複数拠点に分散すべきとの意見
は以前からありました。
 また、これまで地方は首都圏に比べて人材獲得や情報などの面で不利だと
考えられてきました。しかし、今般のコロナ禍でテレワークが当たり前となり、
今後は本社機能を首都圏に置くことの優位性が薄れていく可能性があります。

 これらを背景に、パソナグループは今回の本社機能の移転を決めたのだと考
えられますが、いずれにせよ大変ユニークな試みです。パソナの創業者の南部
靖之代表は兵庫県出身で、すでに淡路島に常駐しているそうです。同社の取り
組みが、生産性や競争力などの面でどれだけ成果を上げることができるか、ま
たこれを機に本社機能を地方移転する企業は増えるのかなど、今後の注目点で
す。(waka)