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9月10日

ファストリ、EC重点投資 大阪に専用倉庫、配送時間短く 米やアジアでも計画 イオンや西友も増設へ(9月6日付日経朝刊 7P総合5面)

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 9月6日付の日経朝刊総合5面で、アパレルやスーパーが電子商取引(EC)戦
略を強化しているとの話題を大きく報じていました。
 記事によれば、ファーストリテイリングは2020年秋に国内2カ所目のEC専用
の自動倉庫を稼働させ、注文から3日以内で商品が届く地域を拡大。イオンや
西友もEC向けの自動倉庫を増設する方針だといいます。

 ECはリアル店舗や店舗ごとの在庫を持たなくて済むため、低コストの運営が
でき、それが従来の小売業より有利だと考えられていました。しかし米アマゾ
ン・ドット・コムはあえて自前で巨大な物流倉庫を持ち、大量の在庫を抱えて
います。その方が顧客からの注文に迅速に対応でき、購入履歴や売れ筋商品な
どの情報も把握しやすいからです。

 リアル店舗を持つ小売業がECに参入する例として、各店舗を在庫拠点にして、
ネットを通じて注文を受けたら店頭の商品をピックアップして、配送担当員が
随時運ぶというサービスがあります。一部のスーパーが手がけてきた「ネット
スーパー」事業などではこの形態が見られますが、専用の自動倉庫を持つEC企
業に比べると在庫量や迅速さには限界があります。
 そこで今回の記事にもあるように、イオンや西友などのスーパーでもEC向け
の自動倉庫を開設する例が増えています。

 アパレルやスーパーがEC事業を強化する背景には、今般のコロナ禍に伴う消
費者心理の変化もあります。これまで衣類や食品・飲料は、家電製品や書籍、
映像・音楽ソフトなどに比べてEC化が遅れていました。直接手にとって、現物
を確かめてから購入したいというニーズが強かったためです。

 しかし、ウイルス感染防止のために外出自粛が強く求められるようになり、
これらの品目もネット経由で買う消費者が増えています。ボストン・コンサル
ティング・グループ(BCG)の調査によれば、日本で緊急事態宣言後にECでの
購入を「増やす」「通常通り購入する」としたのは、衣料品では46%、生鮮食
品でも14%だったといいます。

 小売業のEC事業強化の動きは、今後ますます増えるはずです。EC事業では、
当然ながらリアル店舗での品ぞろえや接客、販売とは違ったノウハウが求めら
れ、これに対応できる人材の確保・育成が欠かせません。こうしたハードルを
乗り越えて、アパレルやスーパーがEC事業でどれだけ成果を上げられるかは、
大きな注目点と言えます。(waka)