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9月17日

大林組、全建機を無人化へ 10年内に、まずタワークレーン 工事自動化 先行めざす(9月10日付日経朝刊 12P企業1面)

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 9月10日付の日経朝刊で、大手建設会社の大林組が三重県のダム建設現場で
自動操縦技術を活用した「無人工事」に挑戦しているとの話題を12P企業1面で
大きく報じていました。
 荷重や風の影響を受けやすく、建設機械の中でも特に扱いが難しいタワーク
レーンの自動操縦に取り組み、そこで培った技術をパワーショベルなど他の建
機にも応用。10年以内にあらゆるメーカーの建機を無人で動かす仕組みを整え
る計画です。

 建設会社が無人化に取り組むのは、人手不足への対応や人件費削減という意
味合いがありますが、それだけではありません。もしメーカーを問わず全ての
建機を安全に自動運転する仕組みを構築できれば、将来的には、新興国の建設
会社などに自動化技術を販売して収益を得るビジネスが可能になります。建物
を建てることで稼ぐ従来のビジネスとはまったくタイプの違う収益モデルが確
立できるわけです。

 このように、AI(人工知能)などのデジタル技術を活用してまったく新しい
ビジネスモデルを創出したり、業務プロセスを抜本的に効率化したりすること
をデジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation=DX、一般に
英語圏ではTransをXで表す)と呼んでいます。今回の大林組の記事は、日本の
建設業界における非常に先進的なDXへの取組事例といえます。

 記事でも紹介しているように、大林組はこれまで、年間200億円以上を投じ
て工事現場のデジタル化を進めてきました。クルマの自動運転で詳細なデジタ
ル地図が欠かせないように、建機の自動運転では、周囲の地形や障害物、設計
図や工事図面など三次元的なデータが欠かせません。すでにドローンなどを活
用してデータ収集する仕組みを確立しているそうです。
 自然の渓谷の中で行うダム工事は、障害物が比較的少ないので、安全に作業
しやすい面があります。ここで自動操縦の技術を蓄積して、将来的にはより高
い作業精度が求められる市街地のビル工事に導入していく考えです。

 企業がDXで成果を上げるには、今までの主力事業や技術にこだわらず、顧客
に対しどんな新しい価値を提供し、それを収益化していけるかがカギになりま
す。最近は日本でも大林組のような意欲的な事例が出ており、日経紙面にも登
場していますので、ぜひ注目してください。(waka)