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10月 1日

NTT、ドコモを完全子会社化 TOB4兆円規模  5Gに総力 携帯料金下げに備え(9月29日付日経朝刊 1面、30日付朝刊 1面、3P総合2面ほか)

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 NTTは9月29日、上場子会社であるNTTドコモを完全子会社にすることを発表。
日経ではこの話題を30日付朝刊1面のほか、正式発表に先立って29日付朝刊で
も大きく報じていました。

 株式を保有することで他の会社の経営を管理し、グループ全体の経営戦略や
事業計画を統括する会社を「持ち株会社」と言います。NTTは持ち株会社であ
り、移動体通信のドコモのほか、地域通信事業を担うNTT東日本・西日本、長距
離・国際通信事業を担うNTTコミュニケーションズ、システム開発を手がけるNT
Tデータなどを傘下に持ちます。

 NTTは現在、ドコモ株の66.2%を保有しており、他の株主が保有する残りの約
34%の株式をTOB(株式公開買い付け)によって取得し、100%子会社とする予定
です。買収総額は約4兆2500億円にのぼり、国内企業へのTOBでは過去最大とな
ります。

 ドコモは国内の携帯通信市場において最大の契約数シェアを持ち、NTTグルー
プの稼ぎ頭でした。しかし国内市場はすでに頭打ち状態となり、他の通信大手
との料金競争も激しく、近年収益は伸び悩んでいます。そこでキャッシュレス
決済や電子商取引(EC)事業など、通信事業と組み合わせた新たな収益事業の
確立に取り組んできましたが、大きな成果は出せていませんでした。このほど
発足した菅政権は「携帯電話料金の値下げ」を政策目標に掲げており、その要
請に対応するためにも、経営の効率化や収益源の確保は急務となっていました。

 上述のようにドコモはNTTの傘下企業ですが、両社とも株式を上場していま
す。それぞれ株主の意向が異なるため、経営判断の足並みがそろわないことも
あり、意思決定のスピードが遅くなりがちでした。完全子会社化することで、
NTTグループ全体の成長を見据えた迅速な意思決定がしやすくなります。

 今後はグループ一体で高速通信規格「5G」やIoTなどの成長分野を強化する
とともに、海外でも積極的に事業展開していく考えです。世界を見ると、5Gの
基地局市場では中国の華為技術(ファーウェイ)がシェアを伸ばし、またネッ
トワークを活用したサービスではGAFAと呼ばれるシリコンバレーの巨大IT(情
報技術)企業が席巻しています。NTTは日本国内では巨大企業グループですが、
海外戦略ではこれまで苦戦してきました。今回の改革を機にグループ各社の事
業の相乗効果を引き出し、グローバル市場でどれだけ存在感を高められるかが
今後の注目点です。(waka)