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10月 8日

生保も対面なし アフラック先陣  提案から契約、ネットで完結 半年で開発、全国展開へ(10月1日付日経朝刊 15P企業2面)

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 アフラック生命保険が、保険の提案から説明、契約までをネットで完結でき
るシステムを10月末から全国展開するとの話題を、10月1日付の日経朝刊企業2
面で大きく報じていました。

 今般のコロナ禍は金融業界にも大きな影響を与えました。金融機関は感染予
防のため顧客との接触機会を減らしつつ、サービスを維持することが求められ
ています。なかでも影響が大きいのが生命保険会社です。日本の生保の多くは
顧客の職場や自宅に頻繁に訪問する営業・接客スタイルを強みとしてきたから
です。死亡保険、医療保険、介護保険など保険商品は種類が多く、契約内容も
複雑なので、丁寧な説明を聞きたいという声は根強く、今後は非対面でそのニー
ズに対応していく必要があります。

 アフラックは今回、人工知能(AI)やビデオ会議などを活用してオンライン
で保険契約が完結できるウェブ面談システムを他の大手に先駆けて稼働させま
した。1日付の記事で解説しているように、ビデオ会議を通じて得た顧客の年
齢や病歴などの情報を基に、最適な保険商品をカスタマイズして提案。最後は
スマートフォンの画面を指でなぞって署名することで契約が完了する仕組みで
す。オンライン化することで、契約成立までのさまざまなやり取りをデータと
して蓄積でき、それを分析することできめ細かい商品提案ができるようになり
ます。

 今回の記事で注目したいキーワードが「アジャイル」です。
 デジタルテクノロジーの発展により、事業活動の多くはオンライン化が可能
になっています。変化の激しいデジタルテクノロジーをいち早く事業に生かし
ていくには、企業の組織も迅速に対応する必要があります。しかし経営規模が
大きく、ピラミッド型の組織で部門ごとに業務が細分化されていると、意思決
定のスピードが遅くなりがちです。アフラックの場合も、もし社内の各部門の
意見を何度も調整し、全員が満足するようなシステムの導入を目指していたら、
何年もかかったかもしれません。その頃には、すでに別の新しいテクノロジー
が登場しているでしょう。

 そこで最近は、失敗を恐れず新事業に迅速にチャレンジできるよう、ピラミッ
ド構造の組織を見直し、できるだけ各部門に権限を委譲する「アジャイル型組
織」を取り入れる企業が日本でも徐々に増えています。アジャイルとは「俊敏
な」「機動的な」を意味する英語です。アフラックも全社横断組織である「ア
ジャイル推進室」を2019年に設置しており、ここがウェブ面談システムを早期
に稼働させる原動力になったといいます。

 米国のアマゾンやフェイスブックなどの先端企業も、最初から完璧なデジタ
ルサービスを提供できていたわけではありません。アジャイルの発想で、失敗
を恐れず事業をスタートさせ、顧客の要望に応えながらサービスの品質を磨き
上げることで成長してきたわけです。金融業界に限らず、今後の日本企業のデ
ジタル活用において、アジャイル型の組織運営や事業開発ができるかは重要な
カギになると考えられます。(waka)