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10月15日

料理宅配員4万人超す 外食モデルに転機 雇用の受け皿に、調理場のみの新業態も(10月10日付日経朝刊 7P総合5面)

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 10月10日付の日経朝刊総合5面で、料理宅配ビジネスの最新事情を伝えてい
ました。

 以前もこのコラムで解説したように、国内の料理宅配市場は拡大傾向にあり
ます。米ウーバーテクノロジーズの宅配代行サービス「ウーバーイーツ」が20
16年9月に日本でスタートしたことが大きな契機でした。利用者にとっては、
ピザなど従来のデリバリーサービスと違って、自前の宅配要員を持たない飲食
店の料理を宅配してもらえる利点があり、人気を集めました。今般のコロナ禍
に伴って外出自粛が求められた結果、料理宅配を利用する人はさらに増えまし
た。

 市場拡大を見越して参入企業も増えています。ウーバーイーツと出前館の大
手2社に加えて、menu(東京・新宿)や「チョンピー」を運営するSYN(東京・
目黒)といったスタートアップがサービスを開始。9月には独料理宅配大手の
デリバリー・ヒーロー(DH)が「フードパンダ」のサービス名で日本市場に参
入しました。

 外食業界の経営環境は非常に厳しく、厚労省によれば、コロナ関連の解雇や
雇い止めで仕事を失った人は9月25日時点で約6万人に達したと見られます。そ
の一方で、日本経済新聞の調べによれば、主な料理宅配の配達員の数は延べ4
万人にものぼり、新たな雇用の受け皿になっていると考えられます。

 外食需要が回復するにはまだまだ時間がかかりそうで、今回の記事で紹介し
ている「丸亀製麺」のトリドールホールディングスのように、調理用の施設だ
けを置き、ネットで注文を受けた料理をウーバーイーツなどを使って宅配する
という新しいタイプの飲食事業を始める例もあります。こうした例が増えれば、
料理宅配の需要もますます拡大しそうです。

 料理宅配が今後一層普及していく上で最大の課題は、配達員の労働問題です。
ウーバーイーツなどは、バイクや自転車を持つ個人を配達用の人員として組織
化し、空き時間に料理を運んでもらう仕組みなので、配達員はパートやアルバ
イトとは違って、法的には個人事業主として扱われます。最低賃金や労災保険
など労働者として保護する制度が薄く、非常に不安定な立場にあります。この
ままでは、人員を確保するのは徐々に難しくなっていくでしょう。現在はウー
バーイーツなど企業側が配達員の事故補償金を手厚くするなどの措置をとって
いますが、今後は本格的な法整備が必要になってくる可能性もあります。
(waka)