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10月22日

大卒内定者11%減 コロナ・米中摩擦響く 車や電機、採用絞る 来春、本社調査(10月19日付日経朝刊 1面、5P企業面)

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 10月19日付の日経朝刊で、このほど日本経済新聞社がまとめた2021年度の採
用状況調査の結果を1面ほかで大きく報じていました。
 主要企業1036社を対象に10月1日時点の内定者数を聞き、比較可能な927社を
集計したもので、大卒採用の内定者数(21年春入社)は20年春入社数と比べて
11.4%減ったといいます。20年度からの増減率を業種別で見ると、41業種のう
ち35業種がマイナスでした。新型コロナウイルス拡大に伴う業績悪化が広範囲
の業種に及んでいるのがわかります。なかでも、製造業では鉄鋼や自動車・部
品、事務機器など、非製造業ではホテル・旅行やレジャーなどの減少が目立ち
ます。

 経営環境が厳しくなるなかで、採用をある程度絞るのはやむを得ませんが、
人材は企業にとって成長を支える重要な財産であり、採用を減らしすぎれば中
長期的な成長力を損ねることになります。そのため、一様に採用を絞るのでは
なく、成長が期待できる事業領域についてはむしろ人材採用を強化する動きが
見られます。
 次世代通信規格「5G」や自動運転技術などのデジタル関連分野は、成長領域
の代表例です。今回の1面記事でも触れているように、次世代通信規格「5G」
向けの計測機器を手掛けるアンリツは、開発人材の採用を45人と5割増やして
おり、同様にロームも20.4%増の130人。このほか、自動運転農機の開発に力を
入れる農機大手のクボタも、機械系だけでなく電子分野に詳しい人材の獲得に
力を入れています。

 なお、今後の企業の人材採用に関連して覚えておきたいキーワードに、「ジ
ョブ型雇用」があります。
 ジョブ型雇用とは、仕事の内容や責任の範囲などをあらかじめ規定し、それ
に合致した資質・能力を持つ人と雇用契約を結ぶという雇用形態です。欧米で
は一般的で、勤続年数や勤務時間の長さにかかわらず、仕事に対する達成度や
成果に従って報酬が決まります。

 これに対し日本では、職務内容や勤務地を厳格には決めずに採用し、転勤や
配置転換を通じてさまざまな職種・職務を経験させる「メンバーシップ型雇用」
が定着してきました。仕事内容や責任の範囲が決まっていないので、会社側と
しては、業務の状況や社員の成長度合いに合わせて臨機応変に仕事を任せられ
る利点があります。しかし、現在急速に普及しているテレワーク環境では、臨
機応変に仕事を任せるというのは難しく、社員としても自分が何を基準に働け
ばいいかがわかりにくい面があります。そこで最近になって日本でも、ジョブ
型雇用を導入する企業が大手を中心に増えています。

 今後ジョブ型雇用が日本でも広く普及すれば、社員には今まで以上に仕事に
おける専門性が求められていくと考えられます。新卒社員であっても、一定の
能力や資質を身につけていることが期待されるようになり、新卒採用のあり方
自体も変わっていくかもしれません。将来的に日本の雇用に大きな影響を与え
る可能性がある話題ですので、ジョブ型雇用に関する記事にはぜひ注目してお
いてください。(waka)