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11月12日

ライブコマース 資生堂が活路 中国で責任者が直接PR 訪日需要蒸発に危機感(11月10日付日経朝刊 17P企業1面)

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 11月10日付の日経朝刊企業1面で、資生堂が中国向けの化粧品販売拡大のた
めに取り組む「ライブコマース」の話題を大きく取り上げていました。

「ライブコマース」とは、ライブ配信動画を通じて商品を紹介・販売する通販
形態のことです。テレビ通販に似ていますが、利用者が商品の魅力や使い勝手
を質問するなど、売り手側とリアルタイムに双方向でやり取りできるのが特徴
です。気に入った商品は、その場でスマートフォンを操作して購入できるとい
う利便性もあります。日本ではまだ普及していないものの、中国では新たな販
売チャネルとして急成長を遂げています。記事にも紹介しているように、中国
の調査会社によれば、中国のライブコマース市場は2020年に1兆元(約15兆円)
を超え、19年の2倍以上になる見通しです。

 化粧品はコロナ禍によって甚大な打撃を受けた業界の一つです。在宅勤務と
外出自粛が広がり自宅にいる時間が増えれば、自ずと化粧する頻度も減ります。
さらに訪日客の激減により、インバウンド需要の大半が消失してしまいました。
感染防止の観点から、百貨店などの売り場で専門の美容部員がカウンセリング
をしながら丁寧に販売するスタイルも難しくなっています。化粧品メーカーと
しては新たな販売機会の確保が急務でした。

 そこで今回、資生堂が活路として注目したのが「中国向けのライブコマース」
です。資生堂は以前から中国でライブコマースに取り組んできましたが、19年
にはSNSを通じた消費者とのコミュニケーション力に強みを持つ米新興スキン
ケアメーカー、ドランク・エレファントを買収。そのノウハウを生かして、中
国で年間最大のネットセール日と言われる11月11日の「独身の日」にライブコ
マースを大々的に実施し、これを皮切りに訴求力を高めていく考えです。

 前述のように化粧品業界は逆風下にあるものの、頻繁なマスクの着用による
肌荒れを防ぐ化粧水の使い方や、マスクに似合うアイメイクの仕方など、コロ
ナの環境下だからこそ生まれる化粧品需要もあります。ライブコマースを通じ
て、消費者の新たな期待に応えることができれば、化粧品の販売を回復してい
くことも可能かもしれません。中国で成功事例がつくれれば、それを日本国内
で応用することもできるでしょう。

 とはいえライブコマースで成功するには、スマホ画面ならではの商品の魅力
的な伝え方やその場で手軽に注文できる操作性など、テレビCMとも対面接客と
も違ったノウハウが求められます。資生堂がこの分野でどれだけ成果を上げら
れるのか、ぜひ注目したいところです。化粧品に限らず、対面接客スタイルを
強みとしてきた多くの業界にとって参考になるはずです。(waka)