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11月19日

アジアに巨大経済圏 RCEP15カ国署名 関税91%段階撤廃  インド不参加 世界貿易の3割占める(11月16日付日経朝刊 1面、3P総合・経済面、4P国際面)

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 11月15日、日本など15カ国が東アジアの地域的な包括的経済連携(RCEP)協
定に署名しました。世界の貿易動向に大きな影響を与えるニュースであり、日
経では翌16日付朝刊1面ほかで大きく報じていました。

 世界の多くの国々では、自国産業を保護することなどを目的に、他国との貿
易に何らかの制限を課しています。しかし過度に制限し過ぎると、世界の経済
活動全体が停滞してしまいますし、国同士の摩擦や対立の原因にもなります。

 そこで各国は貿易を活発にするため、特定の国や地域と交渉し、関税をはじ
めとする貿易障壁を相互に削減・撤廃する協定を締結しています。これを自由
貿易協定(FTA)といいます。RCEPは日本のほか、ASEAN10カ国、中国、韓国、
オーストラリア、ニュージーランドの計15カ国が参加する多国間FTAです。正
式に発効すれば世界貿易額の3割を占める巨大自由貿易圏が誕生します。正式
な発効時期は未定ですが、参加国間の関税を全体の91%の品目で段階的に撤廃
する予定です。

 日本政府はこれまでFTA締結交渉を積極的に進めており、すでに20の国・地域
とのFTAを発効済みですが、中国と韓国との協定はまだ妥結していませんでし
た。RCEPにより、日本は両国と初めてFTAを結ぶことになります。中国向けの
無関税品目の割合は現行の8%から86%、韓国向けは現行の19%から92%まで段階
的に広がる予定です。
 特に中国は日本の最大の貿易相手国であり、関税撤廃の恩恵は大きいと言え
ます。この日の総合・経済面の記事でも解説しているように、RCEPでは中国向
け自動車部品の87%が関税撤廃の対象となり、日本の自動車部品メーカーなど
はこの協定が発効することを歓迎しています。ただし、すべての品目の関税が
即時撤廃されるわけではありません。各国の産業保護の観点から10~20年かけ
て減らすケースが多く、影響もあくまで段階的なものになりそうです。

 米国ではトランプ政権の発足以降、自由な貿易よりも自国産業の保護を優先
する「保護貿易」型の通商政策を推進しており、各国と摩擦を生んでいました。
さまざまな利害対立を抱えつつも、RCEPの参加国が協定の発効をめざして正式
署名に至ったのは、保護主義の潮流に対抗して自由貿易を推進していく狙いが
あります。
 今後は、RCEPの早期発効に向けて各国の手続きをどれだけ円滑に進めること
ができるか、自国産業保護のためにRCEP交渉から離脱したインドがどう対応す
るのか、米国でまもなく発足する新政権の通商政策にはどのような影響を与え
るか、などが注目点です。(waka)