仕事ゴコロ・女ゴコロ
3月

正しい知識を得て、自分のからだと生活に責任をもつ

イーク表参道[産婦人科専門医・医学博士・婦人科スポーツドクター]

高尾美穂(たかおみほ)さん

東京慈恵会医科大学大学院にて医学博士を取得。慈恵医大附属病院産婦人科などを経て、2013年より「イーク表参道」副院長。文部科学省・国立スポーツ科学センター 女性アスリート育成・支援プロジェクトメンバー、株式会社ドーム(アンダーアーマー)のアドバイザリードクター、ヨガインストラクターとしても活動中。愛知県生まれ。
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産婦人科専門医として日々、クリニックの現場に立ち、専門的かつ正しい知識を発信。 アスリートを支えるスポーツドクター、ヨガ指導者、研究者としての幅広い知見も交え 西洋医学+多彩な選択肢で、多くの女性たちをよりよい明日へ導く!

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第一に、日々現場に立つまともな医者であること

 大学附属病院などの医療現場で15年以上働いた後、4年ほど前から婦人科クリニック「イーク表参道」で婦人科部門の責任者として、診療にあたっています。このほかに、婦人科スポーツドクターとしてプロアスリートたちのメディカル・メンタルサポートをしたり、ヨガ指導者としてマターナル(周産期)ヨガを提供したり、また、常に学会にも参加し研究発表などを行っています。

 活動は多岐にわたりますが、あくまでも産婦人科専門医として診療の現場に立つことが私の仕事。週に4日以上はクリニックで患者さんと向き合います。近年は様々なメディアにも登場していますし、パッと見が「よくいる医者」ではないため、違った捉え方をされることもありますが、「まともな医者であること」が何より重要だと考え、現場で研鑽を重ねています。

西洋医学は王様。しかし、すべては解決できない

 医学を語る時、西洋医学、東洋医学という二つを並列で語ることがありますが、医学の王様は西洋医学。これは、おそらく間違いないこと。世界の先進国が抱えている医療費増加という問題を解決すべく、米国では2000年頃から毎年300億ドル以上をかけて、西洋医学に替わる代替医療を探し、確かめるための研究をしてきました。そして出た結論は「西洋医学に替わる医療はない」でした。

 ただし、西洋医学だけではすべてを解決できないことも確かです。西洋医学を補う、食の選択、運動、睡眠など生活習慣の向上や、カイロプラクティック(整体療術)、ヨガなど数多くの補完医療と呼ぶべきものがあります。選択肢は多く、どれをチョイスすればよいかは、ひとり一人違います。

 また、人の心身の具合というものは「絶好調」と「病気の状態」だけではありません。「調子はよくないけれど病名はつかない」というケースが山ほどあります。そういう不調を理解し、共感し、悩みを少なくしたい。医療・スポーツ・ヨガという3つの活動を通して、すべての女性によりよい明日を届けたい。そう思って、産婦人科医をしています 

信頼される人間になりたい、頼りにされたい

 昔から産婦人科医の夢に向かって一直線だったか、というとそうではありません。幼い頃はとにかくからだを動かすことが大好きで、兄と遊んだキャッチボールに始まり、球技は大得意。スポーツ全般をまんべんなくやりこなし、山で馬にも乗っていました。その一方で、勉強も好きで成績のいい子供でして(笑)、医学部進学はいわば自然な流れでした。

 影響があったとしたら、親戚に医者がいたことと、母がかつて乳がんを患ったことでしょうか。小学4年生の夏休みに突然私一人、青少年活動団体が開催する40日間のロングキャンプに送り出されたのです。それは、母が乳がんで入院することや手術することを幼い私に知らせないための家族の配慮だったのですが、後で事実を知りショックを受けました。

 自分だけ子供扱いされている...自分だけ...。子供ながらに落ち込んだことを覚えています。この時の「信頼される人間になりたい、頼りにされたい」という思いが、医者の道を選んだひとつのきっかけではあるかもしれません。

ヨガとの出合い

 産婦人科医として大学病院に所属し、外来、手術、分娩、研究、後進の育成などに励む中、14年ほど前に出合ったのがヨガです。運動には自信のあった私が、アーサナ(ヨガのポーズ)が思うように取れず、ほかのスポーツと勝手が違うところに面白みを感じました。病院の当直室にヨガマットを常備し、深夜の空き時間に廊下で練習していました。  逆立ちしている私の横を、仲間の助産師さんが「また役に立たないことやって~」と笑って通り過ぎている日々でしたが、ある時「妊婦さんにヨガを教えてあげたら?」と、病院でマタニティヨガをやることになったのです。それからは、人の役に立つヨガ、人のためになるヨガ、という視点でヨガを考えるようになりました。

 その後、素晴らしいヨガの先生との出会いもあり「ヨガとはよりよく今を生きること」という精神的教義にも触れ、米国L.A.に渡りヨガの実践と学びも深めました。現在、クリニックの待合スペースの一部はヨガスペースとして活用できるようになっています。

健康も妊娠も、思い通りになるものではない

 クリニックにはいろいろな女性がやってきます。社会で活躍する女性が増えるとともに結婚・出産年齢も高くなり、不妊の悩みを抱えている女性も少なくありません。管理能力に長けているようないわゆる仕事ができる女性ほど、妊娠も計画的に思い通りになると思ってしまいがちで「○月に妊娠したい」と相談してくる人もいます。

 でも、健康も妊娠も、何かをやれば絶対によくなったり実を結んだりするものではありません。単発でどうにかなるものなどなく、極端なことをしても意味はない。日常が大事なのです。「悩みを抱えたから何かをやる」ではなくて「悩みを抱えないためにやっておく」ということに気がつけば、夜早く眠る、一駅分歩く、食事は腹八分目にする、パートナーとの会話を楽しむなど、毎日が変わるはずです。

すべての人が知っておくべき、正しい情報とは?

 そもそも自分のからだが今どんな状態なのか、興味をもっていない人が多すぎます。まずは、正しい知識を得て、自分で責任をもって選択していく大切さを再認識してほしいです。

 さらに、あふれる情報の中から「正しいこと」「ほぼ正しいこと」「おそらく違うだろう」という3つを見抜きましょう。注意すべきは誰が発した情報なのか。誰から、どこから情報を得るのかも自分の選択です。

 例えば、からだの情報でいうならば、多くの医師が発する解剖学や婦人科の知識といった基礎情報は、前述の選択肢のうちの「正しいこと」です。時代が変わっても変わらない。こういう情報はすべての人が正しく知ったほうがいいと思います。

困っている人がいるのに役に立とうとしないなんて、もったいない!

 私は学ぶことが楽しくて仕方ないです。毎日クリニックで多くの患者さんと向き合う現場こそが、学びの場であり、私の活動の源。常に新しい情報を取り入れて、アップデートしていくことを怠らずに研鑽を積んでいきたいです。

 ここ数年、丸1日予定のない休日は年に1日しかないですが、これからも私に与えられた1日24時間という時間をフル活用して、人の役に立っていきたいと思っています。だって、困っている人がいるのに役に立とうとしないなんて、自分がもったいないじゃないですか!

取材後記

<4月から高尾美穂先生の新連載コラム『ニッキィ女性のからだ相談室』がスタート!> クラブニッキィ会員様から寄せられたご質問に高尾先生がお答えします。お楽しみに! ※高尾先生へのご質問は不定期に募集いたします。募集のお知らせはニッキィメルマガにてご案内させていただきます。 ※いただきました全ての質問にお答えできない場合があります。予めご了承ください。

高尾先生の幅広い活動を見渡せるホームページはこちら。 http://www.mihotakao.jp/
高尾先生が副院長を務める「イーク表参道」のホームページはこちら。 http://www.ihc.or.jp/