仕事ゴコロ・女ゴコロ
8月

計画は3カ月後まで。大切なのは目標を柔軟に変えていける力

マイナビウエディング

渡辺 彬子(わたなべ あきこ)さん

2007年、結婚情報誌の制作会社入社。11年、ITベンチャーへ転職。WEBマーケティングに従事。13年、株式会社マイナビへ転職。18年よりウエディング情報事業部 統括部長 兼 マイナビウエディング編集部 部長。大分県生まれ。
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全国の結婚式場選びをはじめ、結婚指輪、ドレスまで、結婚をとりまく様々なサービスを提供する結婚式準備の総合情報サイト「マイナビウエディング」。立ち上げから5年、事業の成長とともにキャリアアップを続ける35歳の統括部長。流行も組織もめまぐるしく変わる時代に必要なスキルとは?

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「なし婚」が5割。多様化する結婚式

 マイナビウエディングは、マイナビの新サービスとして約5年前にスタートしました。私はその立ち上げ直後に転職してきました。現在は非営業部門の統括部長として、40人ほどのチームメンバーと仕事をしています。制作や編集作業をしながら、メディアプロモーションを考えたり、システムを管理したり、営業以外の仕事はなんでもやります。

 「結婚」は個人の生き方や家族のかたちが反映されるライフイベントです。私たちは結婚する2人が自分たちらしいスタイルで人生の節目を迎えられるようお手伝いします。近年増えているのは「なし婚」と呼ばれる結婚式を行わないスタイルです。今は約半数のカップルが結婚式を行いません。

 一方、結婚する時に式は挙げなかったけれど、お子さんと一緒に式を挙げる「ファミリーウエディング」や、婚姻届を出してから数年経って、自分たちの好きなタイミングで結婚式を挙げる「時差婚」など、結婚式の形も多様化しています。仕事の都合で海外転勤を終えて帰国してから挙式する方などもいます。

ジュエリー部門を立ち上げ

 結婚式場探しの情報サイトとしてスタートしたマイナビウエディングですが、ほどなくして私を含む4人で新たにジュエリー部門を立ち上げました。式を挙げない人が増える中でも、結婚指輪は約9割の人が購入します。指輪を皮切りに、ドレス、結納返しに喜ばれる時計など、式以外のウエディング関連サービスを広げていき、今では結婚指輪に関しては全国のブランドをほぼ網羅するまでになりました。

 この新規事業の成長とともに、私も課長、部長と立場が変わり、昨秋から統括部長になりました。自分から望んで役職に就いたわけではありませんが、心の準備はありました。とはいえ、はじめは管理職になることに抵抗がありました。自分に一体何ができるのか、組織にどう貢献できるのかもよくわかりませんでした。

自分のアイデアが形になる醍醐味を味わってほしい!

 当たり前ですが、管理職だからといって自分がすべてをやるわけではありません。仕事はあくまでもチームプレーです。若いメンバーのほうが自分より優れていることもたくさんあります。「背伸びしないでやっていこう」と、新しい立場を常に受け入れてきました。

 今は皆の得手不得手を把握し、適材適所にポジショニングすることが大きな仕事。一人ひとりがやりがいをもって取り組める環境づくりが私の役目だと思っています。私自身が、自分のアイデアや企画を形にして世の中に発信していくことに醍醐味とやりがいを感じているので、若いメンバーにもその充実感は味わってほしいと思っています。

 先日は「障害をもつ新郎新婦や家族がいる場合、どんな結婚式ができるのか相談先がない。その受け皿となるサービスを考えたい」という提案がありました。発案したのはわずか20歳のメンバーです。とてもいい企画だと思いました。こうしたアイデアを経験あるメンバーがフォローしながら形にしていく。そんなチームでありたいと思います。発案したメンバーを中心に、今新しいプロジェクトが始まっています。

担当していた媒体が2度なくなった・・・・・・

 私はこの会社が3社目です。学生時代からウエディング業界には関わっていました。結婚情報誌を作る制作会社でアルバイトをしていて、そのまま就職。4年ほど働きました。メディアが紙媒体からWEB媒体へと移行し始めた時代で、雑誌を発行し続けるのが厳しい状況の中、2011年の東日本大震災が起こりました。北関東の式場の情報を中心に構成していたその雑誌は一度休刊することが決定。私も転職を余儀なくされました。

 これを機に紙にこだわらずWEBへと仕事の場を広げようと、次に選んだのがIT系ベンチャー企業でした。女性向けの自社WEBメディアの立ち上げスタッフとして入社しました。それまでBtoB事業しか経験のない会社が、初めてBtoC事業に乗り出す新規事業でした。レストランやエステサロンの予約サイトを作ったのですが、思うような成果が上がらず、半年後に事業閉鎖が決定。その決断の早さには驚きました。

 新規事業のために集まった転職組メンバーは皆退社していきましたが、私は会社に残ることにしました。会社側も「残ってくれるの?」と驚いていましたが、WEBの世界を知ろうと選んだ転職先だったので、とことん働いたり学んだりした実感がないまま去ることはできませんでした。ほぼ未経験でしたがITの世界でできるところまでやってみようと思いました。

 手探りながらも勉強しつつ目の前の仕事に懸命に取り組み、オンラインやSEO(検索エンジン最適化)の運用、WEBマーケティングの知識を一通り身に付け2年が経ちました。自分なりにWEBの仕事を体得した実感をもてたので「やはり女性の生き方や人生に関わる仕事をしよう!」とマイナビへ転職しました。

定期的に自分を客観視する「棚卸し」が次の行動を生む

 20代の頃はどこかに自分のロールモデルになる女性がいるのではないかと思っていました。もちろん素敵な先輩たちはいっぱいいましたが、30代を迎えた頃に「完璧なロールモデルっていないんだ」とふと思ったのです。それからはキャリアについて真剣に考えるようになり、定期的に自分のことを客観視する「棚卸し」をするようになりました。この作業によって、足りないスキルに気付かされたり、転職を踏みとどまったり、逆に後押しされたり。「棚卸し」が具体的な次の行動を生むきっかけになっています。

 私は長期的な目標はあえて設けません。特に仕事については半年先ではなく3カ月先の目標を立てるようにしています。それは、世の中の流れや組織は常に変化するので、確固たる目標を立て邁進(まいしん)するよりも柔軟性や流動性をもつことのほうが大事だと感じるからです。もちろん目標を達成しようとする気概は必要です。でも、目標が変わっていくことに寛容でありたいですし、そうした変化をむしろ楽しんでいきたいと思っています。

大切にしたい多様性と地域性

 式をやるもやらないも、結婚をするもしないも、人生にはそれぞれのスタイルがあり、それが許される時代です。離婚率の高さと比例して初婚×再婚のカップルも増えていますし、晩婚も当たり前になり30〜40代のカップルも多いです。国際結婚も珍しいことではなくなりました。多様性は大切です。これらひとつひとつに応えられるよう柔軟にサービスを提供したいと思っています。

 多様性のほかに、もう一つ私が大事にしたいのが地域性です。私はサッカー観戦が大好きで、地元のFC東京や故郷の大分トリニータを応援しています。遠征試合を追いかけてヨーロッパまで行ってしまうほど熱中しています。世界中のサッカーチームに共通して言えることですが、どのチームも地域と強く結びついています。私がサッカーを応援する理由もそこにあります。

 結婚式にも最近、地元の小さな神社で式を挙げる「氏神婚」というスタイルが出てきました。縁のある土地や町と結びつきながら生きていくことは素敵だと思います。今後、仕事や趣味を通じて地域の活性化などにも役立っていけたらいいなと思っています。

取材後記

JR新宿駅直結の複合ビル「ミライナタワー」にあるマイナビウエディングサロンで行われた今回の取材。入り口にはウエディングドレスが飾られ、結婚指輪やティアラなどもずらり。一角にはキッズスペースがあり、お子さんと一緒に「ファミリーウエディング」の相談に来る方が少数でないことを感じました。「渡辺さんが挙げるとしたらどんな式がいいですか」と訊ねると、「結婚式は自分たちのためというより周囲に感謝を伝える最高の舞台だと思うので、何かしらのかたちで式は挙げると思います。相手にもよりますが」と笑います。2人の生き方が反映されるという結婚式。結婚も一つの大きな棚卸しなのかもしれません。

マイナビウエディングはこちら https://wedding.mynavi.jp