仕事ゴコロ・女ゴコロ
1月

女性が活躍する社会を「更年期ケア」で支える

大塚製薬 女性の健康推進プロジェクト リーダー

西山 和枝(にしやま かずえ)さん

1990年、大塚製薬入社。医薬品事業部で、営業職に当たる医薬情報担当者(MR)やマネージメントを続け、2015年より現職。東京都生まれ。
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「女性活躍推進法」が2016年に施行され、職場での女性の活躍が広がっている。女性が働き続け活躍するためには、体のリズムや体調の変化について正しく理解し上手に付き合うことが鍵だが、要職を任される40代以降の女性が迎える更年期への理解と対策は、あまり進んでいない。そんな時期の女性をサポートするべく地道な活動を続ける、大塚製薬の女性向けサプリメント「エクエル」のプロジェクトリーダー、西山さんに話を聞いた。

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女性には特有のリズムがあります

 「2020年までに女性管理職比率を30%に引き上げる」という政府目標などを背景に、企業では女性活躍の後押しが続き、役職をもって働く女性が増えました。これから人口減をたどる日本社会においては、女性も男性と同じく定年まで働き続けることが当たり前になりつつありますが、女性の体には男性とは異なる特有のリズムがあります。

 それは女性ホルモンの働きによるもので、毎月の月経のほか、閉経(月経が終わること)を迎える50歳前後の数年、心身ともに様々な変化や不調が起こります。女性がパフォーマンスを保ちながら前向きに働き続けるためには、これらへの理解と対策が必要です。

18年間の研究や試験の末に発売した女性のためのサプリメント

 私は現在、40代以降の中高年女性が感じる不調をケアする「エクエル」というサプリメントを担当しています。この商品は1996年から研究開発を始め、約18年をかけて2014年に商品化し発売しました。

 販路は全国の医療機関や調剤薬局と自社WEBサイト(オオツカ・プラスワン)のみ。かなり絞った販売戦略をとっています。それは第一に正しい情報と一緒に商品を手にしてほしい、第二に40代以降に起きるデリケートな悩みに向き合うものだからこそ直接対話できる環境を整えておきたい、という思いからです。

 大塚製薬はその名の通り製薬会社です。「エクエル」は食品ですが、製薬会社として医薬品レベルの研究や安全性試験を重ね、確かなデータやエビデンスを得てようやく発売を迎えました。きちんとした情報とともに届けたいのです。

女性自身が自分の体のことをあまりに知らない

 長年の研究の末に発売した「エクエル」ですが、すぐに思いがけない壁にぶつかりました。想像以上に女性自身が自分の体のメカニズムを知らなかったのです。そして、40代以降の不安定な時期を迎え不調を感じていても「耐えられないほどではない」「我慢すればいい」と思っている人が大多数であることに驚きました。

 「これは一商品の話をしても、なぜこの商品が必要なのかを理解してもらえない」と思い、商品のPRのみならず女性の体と健康についての啓発活動を並行して行うことにしました。プロジェクト名も商品を通じて女性の健康啓発を行っていきたいという想いを込めて「女性の健康推進プロジェクト」へと変更。私はそのプロジェクトの発足と同時にリーダーになりました。

企業での出張セミナーで男性にも理解してもらう

 しかし、啓発セミナーを開催してもそもそも足を運んでくれる女性は少なかったです。更年期や女性特有の健康問題は、まだ大っぴらに語り合える話題ではないことを感じました。たとえ理解があったとしても、自分が更年期であることを認めたがらない女性が多いこともわかりました。

 そこで、私たちは企業での出張セミナーを始めました。女性特有の健康問題について、だれもが迎える更年期のこと、それにともなう不調が200〜300種類もあり、個人差があることなどを説明。会社として理解を深めケアしていくことが、職場の労働生産性の向上にもつながると話しました。

 セミナーには女性だけでなく、できるだけ男性にも参加してもらいました。「理解したけれど何をしていいかわからない」という男性も少なくないですが、まずは女性には大変な時期があることを知ってもらうだけでも十分です。職場に「配慮」が生まれます。ちょうど女性活躍推進や健康経営などが話題になったことも企業の意識の変化を後押しし、少しずつ手応えを感じるようにもなりました。

40代後半で出合ったライフワーク

 私は入社以来20年以上、医薬品事業部に従事し医薬品ひとすじ。医師や薬剤師を相手に製品を説明するMRやマネージメントをしてきました。「女性の健康推進プロジェクト」のスタートと同時にリーダーを拝命したのは2年ほど前のこと。プロジェクトのシンボルでもある「エクエル」を世に広げていく時に、私の医薬・医療の専門知識や経験が説得材料になり、お客様の信頼を得ることにつながると期待されたようです。

 当時40代の私自身にとっても興味あるテーマでしたし、これまでにない存在の商品に意義を感じました。一般生活者を対象にするマーケティングは対象者が幅広く難しいうえ、更年期の症状は200〜300種類あり、それぞれにスポットを当てるだけでも200以上の啓発の仕方があります。やればやるほど奥深さを感じていき、今はこれが自分のライフワークだと思っています。

自分で自分にKPIを設けてステップアップを

 これまでのキャリアを振り返ると、若い頃は本当にがむしゃらで、数年前まではオンとオフの区切りもなく夢中で働いていました。休みの日に仕事をしないことを逆にストレスに感じたほど。「会社の仲間も仕事も好き」という一言に尽きます。そんな私も今は働き方改革によってオンとオフ、メリハリのある生活を送っています。週末、夫とのんびりおしゃべりして過ごす時間が楽しいです。

 仕事のやり方は歳を重ねるごとに「全部自分でやる」から「人にまかせる」へと変わっていきました。また、経験を重ねたことで仕事を予測しながら効率よくできるようにもなりました。例えるなら、37歳で現役復帰したテニス選手の伊達公子さんの「相手が打つボールがどこにくるのかを経験から予測できた」という話に近いかもしれません。次にやるべきことの判断が早く正確になってきました。

 いつでも感謝を忘れず、与えられた仕事を拒まず楽しんでやってきたことも、よかったと思います。仕事を長く続けていると思いがけない重責を負うこともありますが、やってみると案外やりこなせるものです。まずは挑戦し、自分で自分にKPI(重要業績評価指標)のような評価指標を設けて少しずつステップアップしていけば、できないと思っていたこともできます。

みんな一緒に元気で長生きしたいから!

 「女性の健康推進プロジェクト」はまだまだ道半ばです。「エクエル」は研究が始まってから23年経ちますが、これからもじっくり粘り強くやっていきたいと思っています。世の中のニーズを掘り起こして新しい分野を切りひらくのは私たちが得意とするところ。「ポカリスエット」の発売当初も「これは何!?」「売れるはずない」と言われたものです。世間がまだ必要性をあまり感じていなくても、本当に必要なものはいずれ社会に居場所ができます。これからも地道に活動を続けていきたいと思います。

 自分1人が健康で長生きしても何も面白くありません。皆が一緒に元気で長生きしてこそ人生は楽しい。人生100年時代。ぜひ皆さんも自分自身の体のことをしっかり見つめてみてください。

取材後記

西山さんに加え、大塚製薬広報部の車谷千江美さんにもお話を伺いながら進んだ今回の取材。おふたりは同期で、女性の健康分野について一緒に働き続けてきた、いわば同志。「今とても充実している」と話す西山さん。辛くても、ともにふんばる同世代の女性たちがいるからこそ働き続けることができ、今のキャリアがあるのだと、おふたりの姿から想像できました。支え合いながら働き続け、長寿時代をみんなで楽しく生きる。新年の幕開けにふさわしい明るい未来を感じる取材となりました。2019年も皆で元気に働き、時には肩の力も抜きながら、楽しく過ごしましょう!

「エクエル」のホームページはこちら http://www.otsuka.co.jp/eql/tab/