Nikkey’s ~ここだけのハナシ~
11月

30歳を前に揺れる気持ちを、茶道や弓道で整えています

メーカー営業。29歳

旗倉莉子さん

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米国と日本をつなぐ海外営業の仕事

 新卒で部品メーカーに入社し、海外営業部で働いて7年目になります。営業といってもプロジェクトマネジャーのような立場で、上司はいますが、ほぼひとりで仕事を進めています。国や地域ごとに担当が決まっていて、私は米国担当。現地法人と製造現場である国内工場との間に立ち、パイプ役として新規商品の企画や価格交渉などを行います。

 海外と仕事をするうえで大変なのは、まず時差があること。それと言葉の問題です。日本国内の製造現場がまだ英語に対応しきれていないため、通訳の役割を担うことも少なくありません。納期が近づいてくると取引先が米国から来日することも多く、そのたびに私も北陸などにある工場へ行き対応しています。

 また、欧米では転職が日本よりも一般的です。2年くらいで次々と担当者がかわってしまいます。せっかくいい関係性ができてもそれが引き継がれないのが残念で、仕事の大変さにもつながるように感じます。

ビジネス英語は甘くない

 私はもともと英語が好きで、今ではメールや電話、書類など業務の多くを英語でこなしていますが、これまで2度の挫折を味わいました。最初は入社1年目。学生時代に留学経験はなく、バックパッカーで一人旅をする中で英語を身につけたのですが、ビジネス上ではまったく通用しないことを知りました。専門用語が多いうえに、日本語でも難しい価格交渉を英語で行わなければならず、まったく歯が立ちませんでした。

 次の挫折は2年ほど前。1年間トレーニーとしてカリフォルニアに勤務した時です。すでに5年近く英語を使って仕事をしていたので、それなりにしゃべれると思っていたのですが、ローカルの英語についていけませんでした。スピード感、出身国によって異なる独特のアクセントや発音、スラング混じりの会話など、それまで使っていた英語とはまったく違いました。日本にいる時はほぼ同じ顔ぶれとのコミュニケーションだったこと、彼らが日本人にわかりやすい英語を話してくれていたことに気づかされました。

結婚や出産前にグローバルでのキャリアを積んでおきたい

 米国と日本のパイプ役として仕事をまかされているため、問題が発生した時の火消し役のような仕事も少なくありません。私は「絶対に逃げない」と決めているので、シビアな状況でもお客様の製造ラインに支障がでないよう、大問題になる前になんとかしてことをおさめます。感謝されるのはとても嬉しいですが、果たしてこれがグローバルな仕事なのかと疑問を感じます。

 これからも仕事を続けたいし、結婚も出産もしたい。会社には子育てしながら働く先輩は多いものの、出産後は仕事をセーブする人が大半です。私は出産後も責任のある仕事を続けたいと思っています。キャリアの面ではもっとグローバルに仕事をしたくて、海外赴任も経験したいです。でも残念ながら今の会社では20代の若手にそうしたチャンスはなかなか巡ってきません。出産前にもう少しキャリアを築いておきたいと考えると、転職という選択肢もちらつきます。

イレギュラーのチームプロジェクトで自分にがっかり・・・・・・

 もうすぐ30代を迎えますが、自分が若い頃に思い描いていた30歳にはなっていないと感じます。迷いも多く、冷静さにも欠けています。今年、数カ月間イレギュラーのチームプロジェクトを任されたのですが、忙しさのあまり、普段ならやらない凡ミスをしてしまったり、取りこぼしがあったり・・・・・・。自分で自分にがっかりしてしまいました。

 個人での仕事に慣れていて、多少のミスは自分でフォローしてやりこなしていましたが、チームで仕事をするとそうはいかないものです。入社まもない後輩たちもいるなかで、もっとしっかりしなくては、と思いました。

茶道と弓道で心を「無」にして整える

 趣味は茶道と弓道です。どちらも社会人になってから始めて6年ほどになります。茶道は祖母がやっていました。幼い頃から遊びに行くとお抹茶を点ててくれていたのでなじみがありました。先日は、ついに亭主をつとめました。懐石料理をふるまい4〜5時間かけた茶会。さすがにお料理は料亭におまかせしましたが、大仕事でした。

 弓道はコンスタントに試合にも出場しながら、研鑽(けんさん)を重ねています。本番に強いタイプのようで、実力以上に力を発揮し思いがけず入賞してしまうこともあり、自分でも驚きます。弓道は私に合っているのだと思います。

 茶道も弓道も「道」がつく習い事。「禅」に通じるものがあります。ひとつ一つの動作に集中し、心が無になる瞬間があります。どちらも日常を忘れられるところが魅力です。

 ちなみに、茶道はビジネスシーンでも海外の方に大変喜ばれます。以前、工場をご案内した際、ランチの後にお抹茶を点ててお菓子を差し上げたことがありました。すると私がカリフォルニアに滞在中にその方から連絡をいただき、食事をご馳走してくれたのです。「あの時の茶道がとても印象に残っていて、今日はそのお礼です」と。素敵なご縁だな、ありがたいなと思いました。世界で働く時には茶道や弓道も私の個性のひとつになると思うので、楽しみながら続けていきたいです。

ニッキィズ一問一答

Q.

今までに買った一番高価なものは何?

A.

「29歳の誕生日に買った一粒ダイヤのネックレス。これからも仕事を頑張るぞ!という決意を込めた買い物でした」

Q.

近頃、衝動買いしてしまったものって何?

A.

「口紅。インスタグラムで話題になっていて、実物を見に行ったらつい買ってしまいました」

Q.

健康や美容のために心がけていることは?

A.

「なるべく歩く。通勤時もひとつ前の駅で降りて歩いています。平均して1日1万歩くらいは歩いています」

Q.

お金にかえられない元気の源は?

A.

「人から『ありがとう』と言われることはやはり嬉しいです」

Q.

みんなに教えたいおすすめの本を一冊!

A.

「『千利休とその妻たち』三浦綾子。史実を元にしている小説で強く美しい女性たちの話です。とくに、おりきという女性が素晴らしい。三浦綾子さんが描く、ひたむきに人を想い支えるかっこいい女性が私は好きです」

取材後記

30歳を前に、仕事、結婚、出産、海外赴任などを見据え、今の居場所を見つめ直している旗倉さん。そんな迷い多い時期には、茶道や弓道がより有意義な時間をもたらしてくれるようです。「友人たちにも茶道や弓道をすすめていますが、敷居が高いようでなかなか同世代で始める人はいません。でも、母が58歳にして弓道を始めました!」とのこと。母娘で同じ趣味を持つとは素敵です。長い人生、仕事も趣味も思い立ったが吉日。やるかやらないか、ですね。