Nikkey’s ~ここだけのハナシ~
7月

起業してキッズスペースを作りました!

子どもの預かり施設経営。39歳

中村智子さん

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0歳児から預かるキッズスペースをオープン

 2年ほど前に起業し、乳幼児から小学生までを預かるキッズスペース兼、親のためのワークスペースを始めました。キッズスペースでは、乳幼児向けに一時保育と定期利用保育を、小学生向けに「宿題塾」として夕方から夜9時までの学童保育後の小学生の居場所を提供しています。

 理由を問わず1時間から利用できるので、親が歯医者や病院に行く時などはもちろん、子供抜きで友達とランチに行きたい時や数時間だけ仮眠したい時など、気軽に使ってもらっています。

 キッズスペースを始めて想定外だったのは、0歳児の預かりのニーズが多かったことです。3〜4カ月の乳児の預かりの相談も少なくありません。ただし「首が座ってから」「各種の予防接種を終えてから」であることをお願いしています。首が座っていない乳児は、万が一の際の避難時に抱っこ紐を使っても両手が塞がってしまうためです。

親のためのデスクワークスペースも併設

 ワークスペースは、子供を預けるキッズスペースの隣で親がデスクワークに集中できる空間です。これは、育児中に就職活動をしようと思っても、履歴書ひとつなかなか書き上がらず大変だった自分の経験から、親のための場所も作りたいと思い設けたものです。

 幼い子供はママやパパがパソコンで作業していると、ひざに乗って来てマウスやキーボードをすぐいじります。子供を遠くに預けるのではなく、隣でみてもらいながら作業ができたら安心で便利。仕事はもちろん、勉強や調べごと、読書やDVD鑑賞などちょっとした自分の時間に活用してほしいです。

思いがけず起業プランコンテストのファイナリストに!

 キッズスペースを始めたきっかけは、保育園へのお迎えが遅くなり泣いている我が子の姿でした。フルタイムの仕事は辞めようと転職活動を始めたのですが、前述の通り履歴書すら落ち着いて書けず・・・・・・。「キッズスペースと親のワークスペースを併せ持つ場所があったらいいのに」と思い、荒削りなプランを持って地域の起業相談窓口へ行ってみたのです。

 すると「起業プランをビジネスコンテストに出してみませんか」と言われ、あれよあれよとコンテストの審査を通過。ついにはファイナリストに。優勝はできませんでしたが、その流れに後押しされ、起業してキッズスペースを作ることになったというわけです。

やることはいっぱいあるのに時間もパワーも足りない!

 現在は2歳と4歳の子育て中です。我が家の子供達を保育園に預けて出勤し、朝9時から乳幼児の預かりを開始。小学生たちが夕方4時頃からやってきます。一方で乳幼児たちは夕方5時頃にお迎えがきて帰宅。小学生の利用時間によりますが、遅い時は途中でうちの子供達を保育園に迎えに行き、帰宅は夜9時過ぎることも。

 キッズスペースはシフト制で働く3人の保育士と、サポートに入ってくれる保育士で、なんとか回しています。ただ、経理、労務、宣伝、事務など組織運営に関する業務は私がほぼ1人で担っています。今は本当に忙しい毎日でくたくた。やることがいっぱいあるのに時間がない、手が足りない、私のエネルギーが足りないという感じです。

 自分の子供をキッズスペースで面倒見れば少しは楽になるのでは?という意見もあるかもしれません。でも、私は子供にとって親の仕事場について行くことは、たとえそれが保育園であってもよい環境ではないと考えています。特にこの仕事の場合は、お預かりしているお子さんを優先してしまったり、他の子の見本になるよう我が子に強くあたったりすることがないとも限りません。子供も辛いですし、親の仕事のパフォーマンスも低下してしまいます。

補助金をもらうと制約ができてしまう・・・・・・

 ビジネスとしても決して順風満帆ではありません。子供達は成長とともに卒業していくため、新しい利用者を迎え続ける必要があります。また、補助金のない認可外保育所にもかかわらず、認可保育所と同じように東京都の立ち入り検査が入りますし、細かい指導もあります。いろいろな意味で厳しいです。

 保育施設向けの補助金などを利用する選択肢もあります。しかしキッズスペースが区境にあるため、どちらかの区の補助を受けるとその区在住の子供しか受け入れられなくなるといった制約ができてしまいます。また、それ以外の保育の補助金制度では、親の就労が受け入れの条件になることも。育児の息抜きをしたい人、子どもが生まれても自分のやりたいことを諦めたくない人たちなどを柔軟にサポートしたいのに、それでは本末転倒です。

ビジネスモデルとして確立させることを目標に!

 困難はありますが、なんとかしてこの仕事を軌道にのせていきたいと思っています。運営については今、創業者支援団体の研修受け入れ先になることでサポートスタッフを増やしたり、地域の認可外保育所を調べてまとめた「一時預かりマップ」を作って「赤ちゃんの駅(外出時におむつ交換や授乳などを行えるスペース)」に置いてもらい宣伝につなげたり、様々な方法を探っています。

 私自身もやるべきことに優先順位をつけ、上手に周囲を巻き込みながら進めていかねばと感じています。将来的には、私は現場から退き、運営を通じて利用者の声や現場での問題を解決できるようになるプロジェクトやサービスを作っていきたいです。

 目標はひとつのビジネスモデルとして確立すること。多くの町にワークスペースを併設した小学生まで利用できる便利なキッズスペースができ、子供と親たちの居場所ができたら素敵だと思っています。誰もが生きやすい社会にしていきたい。そのために、もうひと踏ん張りです。

ニッキィズ一問一答

Q.

今までに買った一番高価なものは何?

A.

「車。都内で生活するようになって手放しました」

Q.

近頃、衝動買いしてしまったものって何?

A.

「子供の服です」

Q.

健康や美容のために心がけていることは?

A.

「休める時に休む。ちょっとでも横になれそうな時は横になるようにしています。眠れなくても目をつむるだけでも違います」

Q.

お金にかえられない元気の源は?

A.

「やはり、子供たちが元気でいてくれることです」

Q.

みんなに教えたいおすすめの本を一冊!

A.

「『死ぬ瞬間』エリザベス キューブラー・ロス。死を目前にした200人に取材して綴られたもので、なぜ生きるのか、どう生きるのかを考えさせられます。胸のうちに秘めたことを最後に吐き出すとしたら自分は何だろう、と考えてしまいます」

取材後記

大学院を卒業後、旅行関係の仕事を約9年続けて結婚を機に退職。その後はパートとして社労士事務所などで働いてきたという中村さん。1人目を出産し保活を始めた際に「もし保育園に入れなかったら、いったいこの先何年仕事から離れてしまうんだろう。せっかく身につけたスキルが落ちてしまう」と危機感を抱いたそうです。現在、仕事を続けたい子育てママをサポートする「ゆる復職プラン」も計画中とのこと。また、忙しい日々の中で様々なワークショップも企画。新聞を使って親子で勉強するワークショップも開催しているそうです。アイデアフルで行動力のある中村さん。エールを送りたくなる女性でした。頑張ってください!