Nikkey’s ~ここだけのハナシ~
11月

置かれた場所で咲くしかない!と頑張った30年

ITメーカー、SE。50歳

山田宣世さん

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定年までこのまま働き続けたいです

 短大を卒業後、正社員で入社して以来、同じ会社でSE(システムエンジニア)として働いています。グループ会社が統合されたり、組織編成が変わったり、異動したりと30年の間にはさまざまな変化がありました。

 うちの会社は業界内では大手で、給与や福利厚生などの待遇がしっかりしています。転職を考えた時期はありましたが、これまで辞めていった先輩たちも口々に「辞めずに頑張れ」「定年までいたほうがいい」と言います。日々の小さな不満はあるものの仕事自体は好きですし、このまま60歳の定年を迎え、できることならば再雇用制度を使い65歳まで働き続けたいと思っています。

短大卒の女子に目をかけてくれた上司たち

 30年前の入社当時、ITやシステムがわかる女性は少なく重宝されました。私の入社にあわせてシステム系の新事業を広げる計画が立ち上がったほどです。短大卒の女子でありながら上司たちにはとても目をかけてもらいました。

 今ならただのセクハラやパワハラと言われそうですが、幹部たちの会合に呼ばれてカラオケでデュエット曲を歌ったり、上司が集めた社内の男性陣との飲み会の場で結婚相手を探すよう促されたり。「はやく結婚して子供を産んでおいたほうがいい」とも言われていました。当時は「なんだそりゃ」と思いました。でも後になってその真意がよくわかりました。

 当時のうちの会社では女性の出世の道は狭く、産休を迎えるタイミングがキャリアアップに影響することを彼らはよくわかっていたのです。私を上にあげようとしてくれていた上司たちが、いろいろと考えてアドバイスをくれていたようです。

27歳の時のミスが出世の命取りに・・・・・・

 出世したい気持ちはありました。やりたい事業があり情熱を持って取り組んでいたので、その分野でさらに組織を大きくしていきたいと思っていました。でも、27歳の時にその道が閉ざされる事件が起きました。

 プロジェクトリーダーをまかされ大きな案件を2つ並行して進めていた時に、片方のプロジェクトで大きなミスが発生したのです。そのトラブル対応のために三日三晩働いてしまったのがいけませんでした。

 サービス残業が禁止なだけでなく、なぜか当時は女性社員の残業も禁止されていました。やむを得ない事情とはいえ私を含む女性社員が数人、夜を徹して作業したことが大問題になったのです。本社の会議に取り上げられ、社長の耳にも入りました。責任を取って事業部長は関係会社へ、私たちは別部署へ異動になりました。

意地悪な発言も自分の糧にして

 それと前後してグループ会社の統合を経て会社の規模が大きくなり、個人の能力よりも学歴や学閥を重視した、組織の体裁を整える人事が続きました。仕事を一生懸命やっても短大卒の私はなかなか認められず、有名な女子大出身の人や、子育てと仕事を両立しているロールモデルとして最適な女性たちが出世していきました。

 入社当時から私を可愛がってくれていた元上司たちが出世していったことは嬉しかったです。ただ、幹部社員となった彼らと一社員である私が親しくしていることを面白く思わない男性陣もいて、「短大卒のくせに何を威張っているんだ」「資格も持っていないのに」「自宅から通っている女子たちがまずリストラ対象だろう」などと言われることもしばしば。悔しい思いをしました。

 でも、意地悪な人はどこにでもいるものです。彼らの言葉に奮起したおかげで、高度情報処理技術者の資格を取ることもできましたし、今は感謝しています。改めて振り返ってみると、まさに「置かれた場所で咲こう」と奮闘してきた30年でした。

体調不良と向き合いながら、あと10年!

 30代後半からは体調を崩すことが増え、偏頭痛、アトピー性皮膚炎、椎間板ヘルニアなどに悩まされました。38歳で帯状疱疹になった時は辛かったです。その後、「線維筋痛症」を患い長期休職を経験しました。米国の歌手レディー・ガガが患い知られるようになった全身が痛む病気です。今も通院しています。

 その薬の影響で体重が増えてしまい、なかなか戻らないのが悩みです。ジムで加圧トレーニングをやりたくても体の痛みが増してしまうためできません。健康診断でも体重を減らすよう指導されますが、薬の服用をやめるわけにもいかず、もどかしいですね。

 病気になってからは大好きだったお酒を控えています。それでも時折「今日は頑張った」という日に缶ビールを1本だけあけます。冷やしたグラスに丁寧に注いで飲むご褒美の1杯は本当においしいです。

 定年まであと10年。今は、後輩たちをしっかり育てていくのが私の役目だと思っています。どんな場所でも、情熱をもって仕事をすることの大切さを後輩たちに伝えていきたいです。

ニッキィズ一問一答

Q.

今までに買った一番高価なものは何?

A.

「マンションです。35歳の頃に買いました。今は母と同居中のためマンションは人に貸しています。いずれは自分でもう一度住みたいと思っています」

Q.

近頃、衝動買いしてしまったものって何?

A.

「TOEICの本。仕事のプロジェクトメンバーに外国籍の人もいて英語力をつけたいのですがどうも苦手で。『目指せTOEIC◎◎点!』というようなタイトルの本につい手が伸びてしまいます」

Q.

健康や美容のために心がけていることは?

A.

「湯船にバスソルトを入れて足のマッサージをします。ジムにも通っています」

Q.

お金にかえられない元気の源は?

A.

「タイに赴任中の弟一家から送られてくる甥っ子の動画です。象やヤギと一緒に遊ぶ姿がとても可愛いです」

Q.

みんなに教えたいおすすめの本を一冊!

A.

「『猫ピッチャー』そにしけんじ。置かれた場所で咲くために、時には現実逃避が必要で、そんな時に最適な漫画です。癒やされます」

取材後記

「私個人の問題で認められないならば仕方ないのですが、女性であることや短大卒であることを理由に認められないのが悔しくて」と話す山田さん。じつは入社試験も好成績、研修時の試験はトップだったそうで、それだけにもどかしさは大きかったといいます。時代の変化とともに女性が活躍しやすい環境が整ってきましたが、山田さんのように悔しい思いをしながら踏ん張ってきた女性たちの奮闘を忘れてはいけないと思いました。