Nikkey’s ~ここだけのハナシ~
12月

まさかの乳がん宣告! 皆さんも定期検診を忘れずに

マーケット調査員。49歳

佐久間貴久美さん

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覆面調査員のような仕事をしています

 以前は銀行員をしていましたが結婚を機に退職。その後、夫の実家の家業を手伝いながら、中小企業診断士や消費生活アドバイザーなどの資格を取得。子供が生まれてからは子育てを優先し、家庭教師などのアルバイトをして過ごしてきました。

 7〜8年前からは、登録制でマーケット調査の仕事をしています。指定された施設や店舗へ行き、テーマにあわせてサービスの内容や接客などをチェックしてレポートにまとめる仕事です。わかりやすくいえば覆面調査のような感じでしょうか。出向く先は商業施設や金融機関など様々です。

 自分の好きな時間に仕事ができること、毎回内容が異なり刺激的なことが魅力です。調査結果を当日または翌日には提出しなければならずスピード感が必要で、レポートの再提出を求められることもあります。私のレポートがサービスなどの向上につながればと、自分なりの分析を加えながら毎回報告書をまとめています。

子供が家を出て自分の時間が戻ってきた

 子供がいると当然子供中心の生活になり、昔は「自分の時間がすべて取られてしまう」と思ったこともありました。でも成長とともに受験勉強を一緒にやったり、PTAの役員をやったり、私自身もいろいろな経験ができ楽しかったです。

 子供が大学へ進学し家を出てからは、自分の時間が戻ってきました。調査の仕事や家庭教師を続けながら、合唱やバレエなどの趣味を満喫。夫婦でコンサートや演劇を観に行ったり、小旅行へも出かけたりしています。

 そんななか、2年ほど前に乳がんになり1年ほど闘病をしました。家族や親戚にも乳がん経験者はいません。まさに青天の霹靂(へきれき)でした。

区の定期健診がきっかけで「乳がん」が発覚!

 きっかけは区の定期検診でした。マンモグラフィ検査の結果「要生検(組織検査)」となり、数日後に再検査を受けました。要生検になる人は結構いるので悠長に構えていたのですが、1週間後に聞かされた結果は、乳がん。「えええ!」と本当に驚きました。

 腫瘍は小さく、外科手術で取り除けばいいということで、手術をすることにしました。乳がんでは、手術時にリンパ節までがん細胞が入り込んでいないかを確認するのが通例です。すると、なんとリンパにまで及んでしまっていたことが発覚。驚きの連続でした。そして抗がん剤治療と放射線治療をすることになったのです。

 抗がん剤治療をやるか否かは悩みました。セカンドオピニオンも受けました。ネット上には抗がん剤による副作用の情報があふれていて不安にもなりました。でも私のケースでは乳がんの標準治療として抗がん剤をやったほうがいいとのことで、治療を選びました。

3〜4日で髪が本当に全部抜けていった

 抗がん剤の副作用は個人差が大きいと聞いていましたが、その通りだと思います。抗がん剤の点滴後2週間ほどで髪の毛は抜け始めました。お風呂で頭にシャワーをあてるだけでも、ドライヤーをかけるだけでも抜けていき、3〜4日で全部抜けました。抜けた髪を拾い、ロール式の粘着クリーナーをかける数日間でした。

 抜けきってからは、あらかじめ用意しておいたウィッグをつけて暮らしました。人の目が気になって外出を控える方もいますが、私はあまり気にしませんでした。がん患者への区の補助金で高級ウィッグを買い、そのほかにおしゃれウィッグも購入。「今日はこっちにしようかな」とおしゃれを楽しむ感覚でウィッグ生活を送りました。

抗がん剤も副作用ケアも進歩しています

 副作用のなかで大変だったのは、味覚障害とむくみです。味覚障害は、いつも飲んでいる紅茶の味がしなくなり気がつきました。その後、甘いもしょっぱいも、すべての味がぼんやりとしていきました。そうなってからは味付けに自信がなくなり、自分で料理するのが嫌になりました。それならばと外食を楽しみました。

 むくみが出やすい薬を投与された後は、足が象のようにむくんでびっくり。むくみのせいで体重が4kgも増え、重くなった体にだるさが加わり、外出しても3歩歩いては立ち止まるような状態でした。このまま家に辿り着けないのではないかと思ったほどです。それでも投与を終えて1〜2カ月経つと少しずつ味覚も戻り、むくみもなくなっていきました。

 治療を通じて感じたのは、抗がん剤の薬も副作用へのケアも進化しているということ。大変な時もありましたが、昔抱いていたがん治療のイメージとはずいぶん違いました。おかげで今はすっかり元気です。

やれる時にやりたいことをやっておこう!

 もともと多趣味でしたが、体調が戻ってから新たにドラムを習い始めました。先日初めて発表会がありロックドラムを披露しました。がんの治療中に出会った「がん友」との交流も広がっています。「笑いヨガ」というヨガの先生がいて、一緒に教室を作ろうと計画中です。

 年々体力は落ちるし、体も変化していきますが、齢を重ねることは思っていた以上に楽しいです。だからこそ私は声を大にして言いたいです。皆さん、定期健診はちゃんと受けましょう。乳がんは早期発見と適切な治療で乗り越えられます。

 病気はしないほうがいいですが、悪いことばかりではありません。人生観も変わりました。これまで以上に「やれる時にやりたいことをやっておこう」と思うようになりました。今、こうして大学時代と同じくらい楽しい日々を送れていることに感謝したいと思います。

ニッキィズ一問一答

Q.

今までに買った一番高価なものは何?

A.

「すごく昔に買ったシャネルのバッグ」

Q.

近頃、衝動買いしてしまったものって何?

A.

「アウトレットに行くとついスポーツウェアやシューズを買ってしまいます」

Q.

健康や美容のために心がけていることは?

A.

「1日3食、規則正しく食べる。野菜を積極的に摂る。最近は半日断食や1日2食などもいいと言われていますが、私は朝昼晩にお腹が空くので3食、食べています。あと体を動かすこと」

Q.

お金にかえられない元気の源は?

A.

「家族と友達です」

Q.

みんなに教えたいおすすめの本を一冊!

A.

「『一万年の旅路 ネイティブ・アメリカンの口承史』ポーラ・アンダーウッド。初めて読んだのは17〜18年前。壮大なスケールで語られる人類の歴史に、日常のごちゃごちゃを忘れられます」

取材後記

「がんについて語りたくない人もいますが、私は話す機会があれば話したいと思っています。人それぞれです」と乳がんの闘病についてお話くださった佐久間さん。その明るい声から、今充実した日々を送っていることが伝わってきました。「いろいろなコミュニティーがあるほうが楽しい」との言葉通り、PTA時代の友人、合唱の仲間、バレエ教室の友達などたくさんの人たちと関わりながら過ごしているそうです。「がん友も楽しいコミュニティーのひとつ」と笑います。今回の取材を通じて明るさは財産だと感じました。まもなく今年も終わります。辛いことも明るく笑い飛ばして、新しい年を迎えたいですね。