イベントレポート
12月 6日

2018年11月9日・club Nikkeyイベント『ニッキィの大疑問LIVE』 

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2019年の生活と経済はどう変わる?

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月曜日付夕刊コラム「ニッキィの大疑問」の特別イベントとして、東京・大手町の日本経済新聞社東京本社ビルで11月9日、「ニッキィの大疑問LIVE」を開催しました。経済解説部の女性デスクをファシリテーターに、経済とマネーの専門家、記者歴32年の2人の編集委員が、改元や消費増税など気になる話題を中心に、2019年の生活と経済動向を解説しました。

=登壇者=

◎田村正之編集委員。マネー記者歴32年。著書に『人生100年時代の年金戦略』ほか。

◎前田裕之編集委員。経済記者歴32年。著書に『実録・銀行』ほか。

◎経済解説部大賀智子デスク

■2019年最大の経済トピック「消費増税」の影響はいかに!

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----今回の消費税引き上げ。家計への影響は小さそう

19年10月から消費税率が10%に引き上げられる予定です。消費税が2%上がると子供のいる家庭では年間4万円ほどの支出増が予想されますが、14年に5%から8%へ引き上げられた時ほど家計への影響は少ないと言われています。それは幼児教育の無償化や飲食料品が軽減税率の対象になることなどが関係しています。今回複雑なのがこの軽減税率で、同じ料理でもテイクアウトでは消費税が8%、イートインでは10%となります。線引きが難しい部分もありますが、これを理解することで様々な倹約ノウハウが見つかりそうです。

----増税前の駆け込み消費はせず、買い急がない

消費増税前に大きな買い物を済ませておこうと考える人もいるかもしれませんが、住宅などは買い急がなくてもよいでしょう。テレビなどのAV機器も増税後に値崩れする可能性があるので買い急がない方が得策だと思います。雑誌などの年間定期購読や、10月以降に公演の観劇チケットなどは、逆にあらかじめ買っておいた方が得です。ちなみに、新聞は週2回以上発行で定期購読契約するものは軽減税率の対象となり8%のままです。

区別は細かくて、例えば生きた魚を買う場合、食用なら8%ですが、観賞用の熱帯魚などは10%です。「自分は熱帯魚を塩焼きで食べる」と言っても駄目でしょう(笑)。

■2019年の気になる社会&経済イベントをチェック

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−−「TPP」は生活者にとってはプラスが多そう?

今年年末に発効する「TPP(環太平洋経済連携協定)」。米国が離脱したとはいえ、世界の約5億人が関係する新しい経済ルールです。企業や業界にとってその影響は一長一短となりそうですが、生活者にとってはプラスが多いと思います。単純に言えば、輸入品が安くなるため、皆さんも日々の買い物で変化を感じられるはずです。

−−日本を出るたびに1回1000円の「出国税」がかかる

1月からスタートするのが「出国税」です。国会であれよあれよという間に決まってしまったのであまり話題にならず、知らない人も多いかもしれません。これからは日本を出国する時に1回1000円かかることになります。出国税は多くの欧米諸国にある税制で、世界的には平均2000円ほど。オーストラリアは5000円ですから日本は安い方です。

−−4月から「働き方改革」がいよいよ本格始動!

ここ数年話題の中心のひとつだった「働き方改革」。莫大な量の法律が絡んだ働き方改革関連法が新年度からついに施行されます。これは働く人を守るためのものです。残業時間に「1カ月45時間まで」の上限ができたり、「1年で5日間」の有休取得が義務付けられたりします。違反すると懲役刑もある厳しい内容のため、皆さんの職場でも変化がでてくるでしょう。

−−「新天皇即位・改元」で世の中はお祝いムードに

天皇陛下の崩御によらない改元は近代日本社会にとって初めての経験です。これまでの改元は喪に服していたため自粛ムードでしたが、今回はお祝いムードになるでしょう。各所で記念セールなどが行われることが予想され、経済的にはプラスに働く出来事になりそうです。

−−「ドコモの値下げ」「楽天のキャリア参入」で携帯料金が安くなる

菅官房長官の「もう少し下げられるのではないか」という発言が発端とも言われるドコモの携帯料金引き下げが、春頃に予定されています。秋にキャリア新参入を計画していた楽天モバイルにとっては割安プランが目玉だっただけに、水を刺された格好。生活者にとっては競争によって携帯料金が安くなるのは嬉しいことです。

■来年の景気は? 五輪の影響は? いつが投資のチャンス!?

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----世界的に景気は下がり気味。でも日本の生活者の景気印象は上向き!?

2020年東京五輪の経済効果は5兆円程度で、じつはそれほど大きな影響はありません。それよりも世界経済の大きな流れに目を向けましょう。日本経済は米国をはじめとする世界経済の影響を受けやすいです。世界的に景気は19年、20年と全体として下がり気味という見方が一般的ですが、ほぼ横ばいと捉えていいでしょう。日本経済は1970年代に年9〜10%という高成長が続きましたが、94年以降は大きく成長していません。ただし、成長率と景況感(景気に対する印象)はイコールではなく、日銀の調査によると景況感はこの2年ゆるやかに上昇しています。景気がよくなっているように感じている人が多いのです。

----リーマンショックのようなことがあっても長い目で見ること

大事なのは景気も投資も長い目で見ること。投資でひとやま当てようと思わずに買い続けることが肝心です。リーマンショックのようなことがあってもやめないように。あの時慌てて投資から手を引いた人たちがいましたが、やめずに長く続けたほうが正解だったという試算も出ています。米国景気の拡大期間は戦後、平均して5年弱です。今回の拡大期はすでに10年目を迎えているため、数年のうちに景気後退や株価クラッシュがあるかもしれません。それでも買い続けておくことをおすすめします。とくに女性は長寿です。40〜50代からでも、20〜30年続けるつもりで買い続ける意味があると思います。

----長寿である日本女性は公的年金を最大限活用すべし

女性の長い人生を見据えた場合、投資とともに有効活用すべきは公的年金です。少子高齢化は進みますが、あらかじめ様々な対策が打たれているので、実質的にやや減る覚悟はいるものの、破綻することはありません。なんといっても死ぬまでもらい続けることができる制度ですから、長生きする可能性の高い女性は最大限利用すべきです。正社員ならできるだけ長く働いて、会社が半額負担してくれる厚生年金に加入しておくことが経済的には賢い選択といえるでしょう。

■質疑応答セッションでは多彩な質問が!

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Q1:預金の多くを銀行に預けていますが、銀行の金利はやはり上がらないでしょうか?

【田村】 金利は当面、限りなく0(ゼロ)に張り付いたままでしょう。資産運用を考えるなら、銀行の預金だけではダメです。金利は上がらなくても今後、物価は上がる可能性があります。

【大賀】女性は長生きする可能性が高く、公的年金を利用するとしても、預金を切り崩していくだけでは苦しそうですね。

【田村】 緩やかな物価上昇局面で増えやすい資産が株です。預金だけでなく、確定拠出型年金やNISA(少額投資非課税制度)を利用して、世界市場に連動し、株式を組み込んだ、長期の投資をすることをおすすめします。

【大賀】 ただし、株式はリスクがあることもお忘れなく。

【田村】 投信を使って世界全体に幅広く分散して20年持ち続ければおそらく損することはないでしょう。世界に投資していた場合、株価がもっとも落ち込んだといわれたリーマンショック直後までの20年間でも、株価は約2倍になっています。やはり、途中でやめないことが大事です。

Q2:今、売り手市場のわりに賃金は低いままです。副業を含めこれからの働き方はどうなるでしょうか?

【前田】 人手不足ですから確かに売り手市場です。しかし賃金は今以上には上がらないでしょう。中小企業は、人材は欲しいけれどこれ以上人件費を出せない経営的にギリギリなところが多い。一方、大企業はディフェンシブで、できるだけ人件費を削って内部保留額を増やす方向です。

【大賀】 そうしますと、副業解禁という動きもありますから、やはり副業を考えるべきでしょうか。

【前田】 副業とひとことで言っても最近は、低い賃金を補うための副業と、休暇を使い社会貢献的に行う副業とに二極化してきています。もちろん圧倒的に前者が多いです。副業の前に、結婚していればまずは夫婦で稼ぐことだと思いますが、低賃金の時代にどう暮らしていくかは難しい問題です。

【大賀】 なかなか厳しいですね。今から他の稼ぎ口を考えておくことは必要かもしれません。

Q3:婚活支援の仕事をしています。結婚する人が減っている背景のひとつに賃金の低さがあります。また、結婚すると女性は妊娠、出産、子育てなどで、なかなかフルに働けません。結婚と仕事をどう考えていけばよいでしょうか?

【大賀】 これからは世帯収入で考える時代なのだと思います。企業としても夫1人の収入で家族を養うのではなく、女性も働きながら家計を支えるという発想になってきています。20年くらい前に着手すべきだったのではないかとも思えますが、ようやく多くの企業が子育てしながら働き続けられる環境づくりに舵を切り、本気になっています。

【田村】 税制的には夫1人で1000万円稼ぐよりも、夫婦2人で500万円ずつ稼ぐ方が、手取り額が増えます。税金が累進性だからです。501人以上の企業では、主婦のパート収入に厚生年金の加入対象になり年金保険料などがかかる「年収106万円の壁」があると言われます。しかし計算しながら働き控えをするよりは、保険料を払っても手取りが減らない年収である125万円以上稼げるよう働いて、老後に厚生年金をもらうことを考えるべきです。そのためにも厚生年金加入の正社員で働き続けられるならば、出産などがあってもできるだけ長くそれを継続することをおすすめします。

=参加者の声=

「気になっていた消費増税の影響が聞けてよかった」

「今からコツコツ運用することが大事だと改めて認識しました」

「厚生年金と女性の寿命についての話がためになりました。老後のためにもっと働こう!と思いました」

「1〜2年先ではなく長期的に人生を考えることの大切さを実感」

「質疑応答が面白かったです」

「多岐にわたるテーマを聞けて、大変参考になりました」

★今後も、ニッキィ会員さんの好奇心や知識欲を満たす、楽しいイベントを企画して参ります。どうぞ、お楽しみに!